刑務所編01
拘束されながら、長い時間、車乗せられ、広いとは言えない部屋に通された。
「我々は軍警察です。あなたには黙秘権があります。
これからいくつか質問します。嘘をつけば、あなたの状況をさらに悪化させるだけですのでお気をつけください。」
制服を着た女性が淡々と話を続けた。
「あなたはどこの誰でしょうか。あなたの荷物からは何も見つからない。指紋、DNAのデータも存在しないのであなたを特定することができなかった。」
質問に素直に応じることにした。
「私はルーブルトの王、ゼリオ・トイセン。」
部屋にいた数人がぼそっと
「イかれてやがる」と苦笑い。
「そんな国は存在しません、あなたは嘘の発言により、不利な状況に陥りました。」
そんなやり時が続き、茫然一方であった。
「ジュリマック長官、容疑者と話しても話が進みません、どうしたらいいでしょうか。」
「俺が会話してみよう。他の奴らは部屋から出してくれ。」
部屋にはゼリオとガタイのいい男2人となった。
「ゼリオさんこんにちは。私はジュリー・マクラーレン。みんなからはジュリマックと呼ばれている。よろしく。」
軽く挨拶を済ませ、
「ゼリオさん、わたしたちはあなたに質問してばかりだ。今度は私の話をしよう。
私はイギリス生まれイギリス育ちなんだ。幼い頃、傭兵をしていた父が戦死して、その父の背中を追いかけて軍人になったってわけさ、シンプルだろ?」
軽い笑みを浮かべながら話し続けた。
「俺の趣味は筋トレなんだけど、特技は射撃なんだ。君も特技はあるのかい?」
「私の…特技は…魔法」
「魔法だって!?ハハハ、そりゃ銃より扱いが難しそうだ。俺には使えそうにないな。」
と嘲笑った。
知らない国名に、魔法を使う者がいない。
『魔法が存在しない未来または別世界??』
なお情報不足の中、魔法を行使して逃れる選択肢は得策では無いと考え、彼らの言う黙秘権を行使した。
「そうか、残念だ。けど、君とはまた会う気がするよ、今度会った時は、もっとジョークを聞かせてくれ」
ジュリマックはその場を後にした。
軍警察は、最初こそ重大なテロ行為として対応していたが、犯罪履歴も無いため、最終的には違法移民の悪ふざけとして処理されたのであった。
刑務所に入れられたのは、それから3日後の夜。粗悪な寝床だったが、久々に睡眠を試みることに。
「また悪夢を見るのだろうか…」
zzz
翌朝。
「ん〜〜良く寝たぁ。やはり悪夢は消えたか。」
目覚めはよかったものの、悪夢を見なくなったことが気になった。多少の自由を手に入れた今、いくつか目標を立てることにした。
①この世界の情報の収集
②魔法がどの程度使えるか
③悪夢が消えた推察
ルームメイトは昨日から口を聞いてくれないため、彼からの情報収集を諦めた。
飯の時間になると牢から出され、多くの人間と接触できる環境となったが、ここは目立つことなく、観察しようと試みるも…
「よぉにいちゃん、これあんただよな??」
新聞をテーブルに置く。
『なんだこれ!?私を知られている!?』
「やっぱあんたか!すげぇーな!どうやって忍び込んだんだ?
俺はジェシー、ギャングbbだ。やり方教えてくれりゃあ、ボスにbbに入れてくれるよう頼んでやってもいいんだぜ?」
本当のことを言えるはずもなく…
「これは私ではない、勘違いだよ」
それでも諦めず、しつこく絡んでくるジェシーの体に、めいいっぱいに帯電をしてやった。
「なんだこれ、ヒゲが立ってやがる!!おもれぇ!見てみろよこれ!」
振り返り、仲間がいる金属製のテーブルに手をつけた瞬間
バッッチーーーン!!
「「「ぎっやぁあああ」」」
仲間達は最強の静電気の餌食となり、転げ落ちた。
「新聞はいい情報源だ、入手法を調べよう」
転げ落ちた姿に満足気な笑みを浮かべ
「魔法も問題ないみたいだ」
満足そうに運動場へ向う。
「久々の外だ、気持ちいい!」
外気で頭がスッキリし、
悪夢について再度、考えてみることに。
・魔法が存在しない。
・別世界または、未来の世界
「魔力があっても魔法が使えないのか?」
魔力感知は目が赤く光るため、取り調べ中には使用できなかったが、周りに誰もいない今なら使えると判断し、遠くから赤い目で囚人達を熱く見つめた。
「ん〜、やっぱ魔力を感じない。フリタニア人に比べるとかなり貧弱だけれども…」
囚人だけでなく、看守をも見つめているうちに牢に戻る時間となった。
「魔力は無いか…」
牢に戻り、最後の一人、ベットに包まるルームメイトに赤い眼差しを向けると…
良ければご感想お願い致します。
初めての投稿です。御指南頂けるとありがたいです。
ブックマーク、ご評価よろしくお願いします。
ジュリマック→ドウェインジョンソンさん
のイメージで書きました。