出所編03
「それで、今どこに向かってるんだ?」
「病院さ」
「私はどこも悪くないぞ?」
「違う、これから外で活動するにあたり、健康診断と、検疫検査、予防接種するのさ」
「今日は忙しくなりそうだ…。でもそんなにする必要ある?」
「これから必要になるんだ。」
「嫌な予感するよ」
と苦笑いをした。
「ジュリも受けるのかい?」
「俺はもう受けてるよ。それに受けなくても俺は病気したことないけどな」
自慢げに言った。
「トイセンさん、血液検査は半日かかるので、検疫、予防接種へおすすめ下さい。」
身長183センチ
体重75キロ
聴力問題なし
視力2.0で測定不能
レントゲン等問題なし。
検疫、予防接種も終え、血液検査のみとなった。
「血液検査でも健康状態に問題はありませんでした。
トイセンさんの血液型は珍しいことはご存知ですか?」
医師から質問された。
「はい、前に身元を調べられるのに血液を取られたことがあり、それで知りました。」
「そうですか。
あなたの血液型はO型Rh null型です。
黄金の血液型と呼ばれています。輸血のご協力頂けないでしょうか?また、研究にも使用させて頂きたいです。」
「いいですが、そんな珍しいのであれば輸血相手がいないのでは?」
「いや、逆です。誰にでも輸血することができるのです。」
「終わったか。どうした、顔色悪いぞ?」
「しこたま血液抜かれたんだ…。参った…
私の腕は今日穴だらけになったよ…」
「それは参ったな、じゃあ血を取り戻しに飯に行こう!」
「ここはお気に入りのレストランなんだ。
イギリスは料理がまずいって聞くだろ?
でもここの肉は絶品なんだ!」
ヨダレを垂らしながら自慢げに話す。
『博物館で食べたパスタや、サンドイッチはおいしかったが、それ以降、うまいもの食べてないな…』
「刑務所の飯じゃなければイギリス料理もおいしいと思うよ。」
ジュリマックは苦い顔をした。
「もしかして、同じような感じなの?」
無言のまま、頷いた。
「安心してくれ、ここは本当にうまいんだ!店主がテキサス生まれだからな!
さぁこのメニューから選んで、俺の奢りだ」
「ありがとう、いつか私が奢ろう。
何がおすすめなんだい?」
「約束だな
ここはTボーンステーキがおすすめさ!」
「じゃあそれにしよう」
「おけい!マスター!オーダー頼む!」
「Tボーンステーキ5ポンド2つ頼む!焼き方はいつもと一緒で!」
補足:5ポンド→約2.6キロ
「ちょっとまてぇい!!」
「お待たせ致しました。」
あまりに大きい肉を前に、驚きを隠せないゼリオだがジュリマックはすぐ食べ進めた。
その様子を見てゼリオも肉にナイフを入れ、口にいれた。
『なんてジューシーなんだ。噛めば噛むほど良質な牛の油を感じる!こっちの方は赤みの味が濃いのにすごくフレッシュだ!』
その様子に
「違いがわかったか?
この肉は骨を分けてサーロインとフィレ2種類の肉を味わえるんだぜ?」
今まで感じたことのないほどの満腹感だった。そして、生まれて来てから食べたなによりもおいしかった。
それは出所してから初の食事というスパイスの力も大きいのかもしれないが、
この日から食への興味をすごい持つようになった。
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