刑務所編21
パリーン!!
「どう言うつもりだ??」
セインは先ほどの笑顔が嘘のように青ざめていた。
「ちょっ、もしかして、僕がいること話してないんですか!?」
小声でゼリオに話かけた。
「お前のことじゃあねぇ、
ゼリオ、お前、俺に説教でもしてるつもりか??」
投げられたのは白ワインのボトル。
床にガラスの破片が散らばった。
その様子にセインは、自分の事ではないと確証を得て、大人しくした。
「答えろ、ゼリオ」
「本当のことを言ったまでだ」
レオは拳を震わせて言った。
「俺には、クラリスより白ワインがお似合いだと言いたいのか?」
手を振りかざす。
「クラリスは赤ワインが好きなのか?」
その言葉にレオの拳が止まった。
「ごめんなさい、レオ」
葡萄畑に夕日が差し込んだ頃。
1人、空っぽになったワインボトルを見つめていた。
このボトルのように、何も無い自分を責めた。憎んだ。
そして決意した。
クラリスを手にするために。
bbに入ることは難しくなかった。
それからレオは必死に働いた。
彼女と並べれるように。
あの日から、白ワインは飲んでいない。
「レオ、いいか?いい男になるためには、いいワインを飲まなければならない。このブルゴーニュのワインのようにな。
女もそうだ、いい女を抱くんだ。」
ファミリーが教えてくれた言葉。
幹部になって、成果を上げた。
それが評価され、婚約までたどり着いた。
ようやくクラリスに手が届いた。
婚約した日の夜、高級フレンチで1番高い赤ワインを入れた。
「こんな美味しい赤ワインはじめてだ。」
レオは幸福だった。
「クラリス、このワインは最高だね。」
「おいしくないわ。」
そう言って店を出てしまった。
床に散らばったガラスを拾いながらレオに伝えた。
「きっと彼女は、高級な赤ワインより、
この白ワインの方が好きだと思う。」
その言葉に涙が止まらなかった。
本当はわかっていた。
あの日から飲まなかった白ワインを口にした時、全て思い出した。
あの頃の思い出。
そしてなにより、白ワインのグラスを持ちながら言われた言葉。
「私は、このワインのように透き通っているレオが大好きよ」
「レオ、実はこのワインもう一本あるんだ。
一緒に飲まないか?」
「用意がいいな」
笑いながら涙を拭いた。
「あぁ3人で飲もう。」
そう言ってレオはコルクを開けた。
今まで飲んだどのワインより、美味しかった。
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