刑務所編19
レオからの手紙が届く前のこと。
ゼリオは久々に面会室へ向かっていた。
『またジュリマックか。しつこいなぁ』
だが、面会室にいたのは、アジア系の美女であった。
「こんにちは、ゼリオさん。私はテイラー・ヨコカワと言います。いきなりお伺いしてごめんなさい」
「こんにちは、ゼリオ・トイセンです。」
大男じゃなかったため、つい顔が綻んだ。
会釈をしあい、席についた。
テイラーは研究員であり、棺を検査したことを話した。そして質問したいことがあったため、来たことを伝えた。
「あなたはどうやってこれを壊したのですか?お恥ずかしいのですが、方法がわからなかったです。」
「すみません、それについては話せません。」
「ですよね…いまだあなたが黙秘を続けていることは聞いておりました。」
テイラーは続けて質問した。
「この写真に写っている文字は読めますか?」
『封印の術式…』
「いえ、読めません」
読めないと言ったのに、彼女の顔はみるみる綻んだ。
ゼリオは思考加速をし、考えた。
『何か地雷を踏んでしまったか?
何も言っていないぞ?読めませんしか。
読めません??そういうことか!けど
なぜ彼女がこの文字が見えている?』
0.5秒で答えを見出した。
「そこに文字がないのに読めるはずがないじゃないですか。」
とっさの自分へのフォローに自画自賛した。
「あっ、そうですか…」
と、綻んだ顔は悲しい顔へと変わった。
その後も彼女の鎌がけは続いたが、ゼリオはうまく鎌を外していった。
「お時間を取らせてすみません。ありがとうございました。」
すごくすごく残念そうな顔をしていた。
ゼリオは居た堪れなくなり、
「また聞きたいことあれば来て下さい。
その頃には、あなたの質問であれば答えてしまうかもしれません。」
励ましの言葉を送った。
「ありがとうございます。」
少し笑顔になった。
「またお会いしましょう!」
手を差し伸べると、彼女も手を差し伸べ、
「よろしくお願いします!」
握手を交わした。
確実に魔力を感じた。
それも良く知る魔力。
所長室。
「テイラーさん、何かわかりましたか?」
「トニーさん、すみません、せっかく機会を作ってくれたのに、何も得られませんでした。」
深くお辞儀をした。
「またいつでも来てください。」
「い、い、いいのですか!?」
また来てもいいか、トニーに恐る恐る聞こうとしてたため、呆気な声を出してしまった。
「はい、私も、モーガンもあなたの熱心さに、心を打たれました。
これを受け取って下さい。」
トニーは名刺を渡した。
「また彼に聞きたいことができたら、こちらに電話ください。あなたの様な方なら彼も喜んで面会するでしょう」
と優しく笑った。
「もう嫌がられてるかもしれません。」
と少し笑い
「ありがとうございます!」
と心からの感謝を述べた。
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