刑務所編15
「ねぇ、カール、もう帰ってもいい?」
「いいが、またあの博物館に行くのか?」
棺が再度展示され、テイラーは毎日のように
博物館に足を運んでいた。
「そうよ」
帰り支度をしながら答えた。
「博物館にいい男はいないだろ??バーの方がいい男いっぱいいるぞ??」
「セクハラよ、カール」
にこやかな顔しながらラボを後にした。
年間パスポートで中に入り、他の展示物には目もくれず、棺へと向かった。
「まもなく、閉館致します。お出口へお迎えください。」
閉館のアナウンスが流れた。
『この前見た動画には、あの男が姿を出す直前、棺が光を放っていた…
調査中に見ていた時には、そんなの映っていなかったはず。同じ動画だったなのに。』
そう考えながらボソっと呟いた。
「彼に会ってみたらなにかわかるかも」
ぼやいていると、後ろから声をかけられた。
「こんばんは、いつもこの時間までいますね、この棺が好きなんですか?」
振り向くと、スーツをビシッと着こなした紳士が立っていた。
とっさに「あ、あなた?」と聞いてしまった。
「驚かせてしまい、申し訳ない。私は館長のモーガンと申します。いつもあなたの姿を見かけていたので、話かけてしまいました。」
「わ、私はテイラーと言います。見られていましたか」
と苦笑いをする。
「閉館の時間ですよね、すみません、失礼します。」
「お待ちください、あなたのお時間が平気で
あれば、これを見ながらお話しをしませんか?」
「いいんですか?」
「館長ですので」
閉館後の特別な時間
「毎日見て飽きないのですか?」
質問されたテイラーは棺を見つめ
「私、小さい頃、ここに来たんです。初めてこの棺を見た時、なにか運命的なものを感じたんです。その日も、何時間もこの場所にいました。」
恥ずかしそうに笑った。
「それで私、研究員を目指したんです。
未知の物を解明する。そんなのロマンです!!」
「どうやら、その夢は叶ったようですね」
「はい、研究員になれました。
それに、棺がこうなっちゃったおかげで、実際に調査することができたんです。何もわからなかったですが…」
慌てて
「あっ、デレカシーなくてごめんなさい!」
「いえいえ。あなたがこれを調べてくれたんですね。ありがとう。
私はね、これは壊されたんじゃなくて、開いたように感じるです。」
「えっ!?」
「長年、色んな骨董品を見てきました。
なんとなくなんですが、そう思うんです。」
抑えられない興奮を言葉で
「私もそう思いました!!」
館長とテイラーは長い時間、語り合った。
テイラーがそろそろ帰ろとした所で、
「この中にいた人物と話してみたくありませんか?」
即答した。
「会って話をしたいです!
けど、ただの研究員の私には難しい話です。」
と残念そうに笑った。
「来週の金曜日、18:00こちらに来られますか?」
「その日は…って毎日来てるので、来てますね」
「そうですか。また、お会いしましょう」
そう約束して、紳士はテイラーを出口に案内した。
「遅くまでありがとうございました。」
「こちらこそ、楽しい時間をありがとうございます。」
テイラーは自宅へと向かった。
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モーガン→モーガン・フリーマンさん
のイメージで書きました。