正戦と聖戦編01
黒幕編あらすじ。(ゼリオサイド)
モーガンがゼンフィスだと判明し、ゼリオに欠けている記憶を明かした。
かつてのゼリオはパンドーラという女性。世界を平和にしようと奮闘していた姿に、母であるリリスや、フリタニアの王ユーサーからイブと同じ希望だと信じられていた。
奇病悪夢とは、パンドーラを救うべく、リリスが放った魔法。魂に刻むこの魔法は、貪欲に作用し、リリスの記憶を見せた。
娘のために放った魔法は、奇しくも娘にもかかってしまう。悪夢を見た彼女は、姿を男に変え、名を魔法名からゼリオと名乗り、魔法族の魔法を奪ったのだった。
ゼンフィスは闇落ちとも言えるゼリオに、裏切り者となり、ゼリオの死の一因となったが、様々な争いを目にしたゼンフィスはゼリオこそが希望だったと抱くようになった。
「リリスが母とはな。」
ゼリオは狼狽えることなく、話を受け入れ、
「母上の記憶が俺を変えたか。」
再び眼光を鋭くさせた。
「我らrib wreathを御使い下さい。どんな人物とも接触を可能とさせます。さぁ、世界の穢れを流すのです!」
ゼンフィスは歓喜を漏らす。
弱い私を捨て、最強になった想いを思い出し、あらゆる事象を起しながらゼリオは刑務所に災害を起こした。
「俺が世界を変える。」
再び最強の意志を燃やした時、緑のトンネルがゼリオを覆い、トンネルの先から声が届いた“気がした”
【それでも貴方を愛してます】
その声の方に顔を向けると、愛する女性が傷つき弱った姿で見つめていた。
「なんてことを」
すぐさま治癒魔法をかけ、束縛していた全ての器具を魔法で吹き飛ばした。
ゼリオに抱かれた彼女は、ゼリオの顔に手を添え、
「あなたはあなたよ。」
その声はまるで、母の記憶の女性そのもの。
「テイラー、君は私の希望だ。」
ゼリオの眼光は、穏やかな目へと変わっていた。
緑のトンネルが解かれると、ゼリオの姿を見たゼンフィスは悲哀へと表情を変える。
「今のあなたはどちらなのですか?」
「どちらでもない。ただのゼリオだ。」
ゼンフィスは、その表情を見たことが無かった。誰よりも知っているはずなのに。
「あなたの覇業は、戻ることを許されない。
あなたの中にある人々の魔法がそれを許しません!」
「テイラーは、私を許してくれる。」
ゼリオがテイラーの顔を見ると、彼女はもちろんと言わんばかりの笑顔を見せた。
「あなたを一番理解しているのは私だ!」
自分の顔を引っ掻きながら精神の崩壊を起こす。その姿はまるでかつての自分。
「お前が愛した私を想い出せ!」
精神が遠のきながらも、その声が届く。
ゼンフィスの目には、ボロボロな女性が映った。傷つき、疲弊し、平和を求めた女性。
「パンドーラ様…」
ゼリオはゼンフィスの方へ歩み寄り、
「あの日から、私を守るという誓いをずっと果てしてくれた。誤ちを犯した私を救ってくれたのもゼンフィスだ。」
傷ついた顔にグリフィスの魔法をかけた。
「また、私を救ってくれるか?」
兄と彼女と過ごした時間が、暖かい魔法と共に蘇る。
「私があなたをお助け致します。」
ブィーンブィーン ゼリオが電話に出ると、
「よぉ、ゼリオ。全部見ていたぜ。俺のパンチが炸裂しなくて良かった。」
嬉しそうな声が響く。
「覗きはやめてくれ、ジュリ。殴られる前に正気に戻ってよかったよ。」
電話越しに2人は笑い合った。
そして、ジュリマックに心配していたことを聞いた。
「シェリルは無事?」
「あぁ、無事だ。今一緒にいる。2人共お前に会いたがっているよ。」
「2人共?」
「それより、急いでその場を離れた方がいい。」
外からサイレンの音が聞こえる。
「警察か。ジュリの力で止められない?ここはなんとかするから」
荒れた刑務所を見渡し、苦い顔をした。
「警察じゃない、俺の親父から逃げて欲しいんだ。親父は目を持っていないから、すぐには来ないだろうがな。」
「親父さんは亡くなったんじゃないのか!?」
「そう思っていた。そこにいるモーガンもな。」
ゼンフィスは2人の会話を察し、
「私はここに残ります。ガイルと話をしたい。」
横から口を出す。
ゼリオは、その選択を拒否しだが、
「彼と、過去の清算をしなければならないのです。安心してください。彼は私を殺すことはしません。それもまた呪いですから。」
選択を変えることはなかった。
ゼリオの魔法で建物を直し、囚人を治した。
そして、ゼンフィスは刑務所に残り、トニーは火消しに回ることとなった。