黒幕編12
結界魔法を壊した攻撃魔法の音と振動で、刑務所内はパニックに陥っていた。
「騒がしい。」
ゼリオは閃光とも言える速さで、騒いでいる囚人と看守を伸していると、
「今、やつが見えた…間違えないっ。やっぱりやつは…災いだっ」
グノリスは一瞬見えたゼリオの姿に、フラッシュバックを起こしながら腰を抜したのだった。
静かになった刑務所。所長室に声が響く。
「リリスの魔法と言ったか?」
戻ってきたゼリオはソファに座った。
「世界に奇病【悪夢】をもたらしたのは、リリス様なのです。」
ゼリオは最初の悪夢を思い出す。
【愛している者が無くなるような感覚】
鋭い眼光をゼンフィスに向けた。
家臣となっていたゼンフィスは、アーロンに呼び出された。
「娘を愛する者よ。私の意志を聞け。」
ゼンフィスは、王の御前で下げていた顔を上げた。
「私が誰だかわかるか?」
アーロンの口から女性の声が伝わる。
その声は確実に聞いたことのある声だった。
「王妃様…?」
その言葉にアーロンが頷くと、すぐさま言葉を投げかける。
「あなたは亡くなったはず!」
「私の体は確かに死んだ。だか、魂はここにある。」
「あ、あり得ない!!」
ゼンフィスは声を震わせる。
「私は原初の魔法使い。故に、私から生まれた器を操り、入り込むくらいできる。」
ゼンフィスは咄嗟(咄嗟)に結界魔法を放つと、以外な言葉が届く。
「アーロンは娘を本当に愛していた。」
何か思い出しているかのような顔し、
「ゼンフィスよ、娘を救うために力を貸せ。」
願いの言葉を放った。
「何故、自らの力を私に使わない!?」
「この力は娘を救うのために使う。」
結界魔法越しにゼンフィスに、語りがけた。
「貪欲を見せた者に悪夢をもたらす。穢れし魂に悲痛を与え、娘が望んだ平和な世界を作る。それが私の意志だ。」
「そんなことで平和は訪れない!」
「その悪夢は、お前にとってパンドーラが死ぬのと同じだとしたら?」
ゼンフィスは理解した。
「私は何をすれば…」
「私の提案に賛成してくれればいい。」
約束の終戦日
アーロンは王妃の亡骸を抱え最後の言葉を放った。
「我が血にて、穢れを流す!」
アーロンの血が眩光ると、世界は新たな時代に希望を抱いたのだった。
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