黒幕編11
「今、シェリルはどうされてますか?」
ジュリマックは、リリスを車に乗せ、刑務所へ向かっていた。
「あの子は寝ています。大丈夫。愛する子に危害は加えません。」
ジュリマックはリリスの目を見て、フロントガラスへ目線を戻す。
「あなたを信じてもいいのですよね?」
「シェリルは安全です。私は、貪欲を捨てました。どうかパンドーラにも安全をもたらせて下さい。」
リリスは、目に涙を浮かべ、ジュリマックに願った。
「ユーサー王のような結果にはさせません。」
「あの結果をもたらしたのは私です。」
ジュリマックは、神代の記憶を思い出す。
「リリス様、あの頃にはあなたの魂は、そこには無かったはずです。何故、真相を知っているのですか?」
「ガイルが教えてくれたのです。」
父の名を聞き、現在の記憶と結びつけた。
「あなたが意識を失ったのは、事故では無いのですね?」
「ゼンフィスから、ガイルが助けてくれたのです。」
ある人物が誰なのかを理解する。
「親父は正しい目を持っていた。」
1999年8月11日 リリスは街を彷徨っていた。チャドがリリスに一目惚れをし、リリスは、チャドをアーロンのような暖かさを感じた。いつしか宿した2人の子には、2人の娘の分まで愛せるようにシェリルと名付けた。
そんな時、ゼンフィスが現れた。
「ゼンフィスは、お腹の子シェリルを新たな希望にさせようとしました。ですが、ゼンフィスが望んだ世界は、イブとパンドーラが望んだ世界では無かった。」
「あなたの魔法をゼリオが奪ったとしたら、
今度こそ世界を変えてしまうかもしれない。
それにあなたがどうなってしまうかも…」
「それでも私は行きます。希望のパンドーラに戻ってくれるなら、私はどうなってもいい。その時は、この子のことも頼みます。」
リリスは、シェリルの心臓部に手を添えた。
「心配ありません。ゼリオは、ユーサー王が懐いた希望がありますから。」
ジュリマックが見た記憶のユーサーは、初めて彼女と会った時、希望の生まれ変わりだと感じていた。
何故なら、オーディンが愛した女と同じ、美徳を持っていたから。
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