血統編04
「ジュリ。残念に思う。」
「母親を知りもしなかったのに、悲しんでくれている気持ちが伝わるよ。ありがとな。」
ジュリマックとゼリオは、ジュリマックの母ナタリーの棺の前にいた。
ゼリオは考え深そうに言う。
「父が亡くなる直前、目が合って言ったんだ。お前は希望だとね。ジュリ、君と僕は似ていると思う。兄弟だ。だからいつでも頼ってくれ。」
ゼリオはジュリマックにハグをした。
「なら俺が兄だな。」
その言葉にゼリオはハグをやめ、
「ジュリが弟だ。」
と反抗し、2人で笑い合った。
ジュリマックが腕相撲のようにゼリオの手を熱く握る。
「対等な兄弟だ。」
『あの2人、何してるの?』
その姿を、受付の手伝いをしていたテイラーが遠くから見て、微笑むのだった。
葬儀もひと段落して、ジュリマックが御礼にと、家に招き、食事が行われた。
「ひどいよ。僕も行きたかった。」
PC画面からベックがこちらを見て嘆いている。
「うまそうだろ!」
ジュリマックがいじわるをすると、その姿にゼリオとテイラーは、笑っていた。
お酒を飲みながら、ベックにもプロビデンスの目の件を話し、ジュリマックは昔話を始めた。
「親父の記憶はあまり無いんだ。俺が小さかった頃から傭兵をしていたからな。母親はいつも心配していた。」
「なのに、なんで軍人?警察?もーわからないけど、そう言う関係の職に就いたの?」
「一度だけだが、親父が俺に仕事の話をしてくれたんだ。それが単純にかっこいいと思った。それだけだ。」
「かっこいいっす!ジュリマックさん!お母様はどんな方だったんですか!?」
「親父の真反対で、学校の先生みたいな人だった。俺が脳筋にならなかったのは母親のおかげだ。」
ジュリマックは、グラスに入っていたウィスキーを一気に飲み干した。
そして、地図の方に目をやり、
「この印はなんだったんだろうな。プロビデンスの目ってことは、悪魔の居場所なんだろうか。」
「でも、何も無かったんですよね!?」
ベックの質問に、
「けど、悪魔だったら見えないだろ。」
と、マジレスをした。
「この印の場所に行って調べてみないか?」
ゼリオが提案をする。
「調べようが無いだろ。エクソシストじゃあるまいし。」
ジュリマックは、ウィスキーをグラスに注ぎながら言った。
「悪魔の言葉が分かるんだ。」
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