血統編03
「25年くらい前、母親が急に地図を買って来て、印をつけていったんだ。」
「何を印しているかわからないの?」
「聞いたが、母親は教えてくれなかった。」
ジュリマックとテイラーが会話している最中、ゼリオは地図を近くで見ていた。
「実際に、見に行ったポイントは無いのか?」
「見に行ったことはあるさ。けど、そこには何も無かった。」
そういいながら、ジュリマックは厳重な金庫を開け、中から箱を取り出し、
「これは、母親の一族が代々継ないで来た物らしい。これが何なのかはわからないけどな。ったく、夫婦そろってギミックが好きだよ。」
箱を見つめ、苦笑いをした。
「お母様はどうしてるの?」
テイラーは、気を使いながら聞く。
「母親は意識を無くしている。意識を失う前にこれを託されたんだ。」
ジュリマックの父の訃報が届いても尚、地図に印をつけ続けていたある日の事。
「母さん!?」
家に帰ると、母が倒れていた。駆け寄ると、
「ジュリー。あなたは希望よ。」
母はジュリマックに箱を渡した。
「これは一族の秘密。きっとあなたや、あなたの大切な人のためになる。愛してるわ。」
「そうだったの。ごめんなさい。」
ジュリマックは想いに耽るように言った。
「俺もこれが何なのか気になっていたし、いいタイミングだったのかもしれない。」
地図を凝視しながら、ゼリオが言う。
「ジュリの母親がプロビデンスの目を持っていたということか。」
「今の話からすると、そうかも知れないな。」
「だとしたら、ジュリーの父親が戦士!?」
テイラーは既に、気を使う素振りは見せていなかった。
ジュリマックはテイラーを素直な人間だなと思いながら答える。
「親父は、母が地図に印を付け始める前から傭兵をしていた。だから目覚めた戦士では無いと思うぞ。」
「そうなのね…。なら、ジュリーのお母様が魔力を持っているか、ゼリオに確かめてもらうのはどう!?」
「それは難しいと思う。関係者以外立ち入り禁止なんだ。」
その言葉にテイラーがガッカリしていると、
「なら、外から見ようか?」
ゼリオが、振り返り言う。
「え、触れないとわからないんじゃないの?」
「器を感じるには触れる必要があるけど、魔力の
有無なら見れば分かる。」
ゼリオは赤い目を見せた。
『『それがプロビデンスの目なんじゃ…』』
ジュリマックとテイラーの内心が一致したのだった。
ブィーンブィーンブィーン
「先生、どうされました。」
「申し訳ございません。ナタリーさんが亡くなられました。」
良ければご感想お願い致します。
初めての投稿です。御指南頂けるとありがたいです。
ブックマーク、ご評価よろしくお願いします。