悪魔追究編10
「また血が流れている…何故だ。何故争いが止まらないんだ。」
「王よ、私の手で戦争を終わらせます。」
「なにを言うのだ!ならぬ!ならぬぞ!」
王の命令で、王宮に王子や家臣など、国営に重要とされる人物らが集められた。
「見よ、我が息子、ゼリオの姿を。」
目をやると、ある者は目を逸らし、ある者は口を塞ぎ、ある者は拳を震わせ、ある者は口元を緩めた。
「王よ、私は恥じる姿などしておりません。」
アーロンはゼリオをみつめ、
「お前らはどうなのだ。」
と、1人1人に目を合わせた。
「王様、恐れながら、我々とて恥ずかしむ姿はしておりませぬ。」
「お前は穢れておる。」
アーロンが目で合図をすると、ゼンフィスが王に手紙を献上した。
手紙を受け取ったアーロンは、言葉を放つ。
「これはお前が送ったものだな?」
「そ、それは…お、王様!我々の中でも、王子の強行策によく思っていない者もおるのです!
なにより、王子は王様の御意向に沿ってないではありませんか!」
その手紙は、諸国に送られたゼリオを貶めるための通達書であった。
「ゼリオはお前ら穢れている者共にも、手を差し伸べていたはずだ。」
「………。王子の政策は、国を良くしました。属国…同盟国でさえ、革命とも言える変化をもたらしました。しかし、我が息子を殺した奴らが何故、幸せな顔をしてるのですか?何故、豊かな生活をしてるのですか?私は、耐えられない。かつての王のように、力でねじ伏せるべきなのです!」
「それが穢れなのだ!!」
王宮に声が反響する。
「我が血にて、穢れを流す。」
アーロンのその言葉に、ゼリオは色の無い目を、見開き言う。
「王よ、それは一体…」
「そのままの意味だよ、ゼリオ。私の死を持って争いを止めよう。」
家臣らはつかさず、
「なにをおっしゃるのですか!?」
「それはなりませぬ!!」
「考え直してくださいませ!」
「私達が受け入れるわけが無いではありませんか!」
と、否定の言葉を放つ。
そして、目に色が無い男は色を取り戻し、潤せながら言った。
「私は父を失いたく無い!」
アーロンは涙を流した。
「その言葉が聞けて良かった。」
家臣の1人が状況を判断して収めようとする。
「王よ!その御言葉、誰も賛成しておりませぬ!どうか、胸にお仕舞い下さい!」
「私は、その御言葉を賛同致します。」
「ゼンフィス…」
潤った目から、涙が流れる。
「ゼリオ様。私を恨んで頂いても構いません。
王はあなたを愛しておられる。愛されるお気持ちを、お救いください。」
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