悪魔追究編03
rib wreathの伝承
【消したいイブ】と、【取り戻したいリリス】
伝承に自分が関係しているなら、どちらなのか。毎日そう考えていたゼリオは、救いを求め、フランシス神父に会いに行くことにした。
「神父様、お久しぶりです。」
「やぁゼリオさん。元気にしてるかね?」
「この前、うなされてたらしいですが、悪夢ほどでは無かったようです。」
「そうか。こちらに来なさい。」
そう言うと、神父はゼリオに祈りを捧げた。
「ありがとうございます。なんだかスッキリした気がします。」
神父は優しげな顔をし、
「神にも感謝の祈りを捧げるといい。」
と導いた。
ゼリオは神に祈りを捧げると神父は、優しい声で話かける。
「救いを求めに来たのだね?」
「………はい。」
「なんでも言ってみなさい。」
「神父様、悪魔は人の呪いによって取り憑くとおっしゃっていましたが、その呪いとは、なんでしょうか。」
「君が誰に呪われたのか、気になったのだね?」
「……そうです。私は呪われるようなことをした人間だったのでしょうか。私には、罪の意識が無いのです。そんな私は、罪深い人間なのではないでしょうか。」
神父は十字架を見つめながら暖かな声で話をした。
「悪魔の憎の想いが、人の憎の想いに届いた時、呪いが生まれる。憎の想いを向けられた人間に悪魔は呪いを届けるのだ。
だけどね、悪魔にとって呪いとは、救いなのだよ。そして、愛でもある。
憎の想いは、愛から生まれた想いなのだ。
それだけ君は愛されていた。罪深いのでは無く、愛深い。それが君だ。」
ゼリオはその言葉に涙を流した。
「色んな女性を泣かせたのであれば、罪な男だがな。」
神父がちゃめっけを出すと、ゼリオは笑み浮かべたのであった。
最初の悪夢についても気になっていたゼリオは、神父に質問することにした。
「神父様、もう一つお聞きしていいですか?」
「いいとも。なんだね?」
「悪魔は最も恐れていることを見せるとおっしゃっていましたが、最も恐れていることが複数あったりするのでしょうか。」
「いい質問だね。君の恐れはここだけでは無い。」
神父は頭に指を差す。
「ここにもある。」
神父は胸に手を置いた。
「記憶は魂にも刻まれる。だから最も恐れていることが複数あったとしても、それは、生まれ変わる前の君の恐れなのだ。」
ゼリオはふと思い出す。アーサー王の言葉を。
「魂とは経験だ。魂が経験した体験が違うのだ。」
※ プロローグ01
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