プロローグ01
「我が血にて、穢れを流す。」
ある男の命によって、幾千年も続いた戦争が終結し、世界に平和が訪れる…はずだった。
しかし、訪れたのは奇病。
奇病の名は『悪夢』
悪夢は安息を奪い、人々の精神を壊わし、死者へと変えた。
治癒魔法も効かない。薬も効かない。
自体を重く見た諸国は、蔓延の防止や、治療法を探ったが、その甲斐なく、瞬く間に悪夢は世界に広がったのであった。
魔法大国ルーブルトの新王、ゼリオ・トイセンは、どこの国より先に、この悪夢を脅威と判断し、国を挙げて情報収集を図ったのであった。
情報収集を始めて半月、家臣のゼンフィスから有力な情報が届く。
「最初の『悪夢』から一月あまり、産業国家ヨルダム、神聖国シンファーラ、共和国トルドンの3カ国も悪夢に侵される中、この3カ国に隣接しているにもかかわらず、独立国家フリタニアには悪夢の感染者がいないとの情報を得られました。」
「フリタニアか…昔、訪れたことがあったな。終戦後、まだ訪問していないから、訪問するならいい機会かもしれないけど、あそこには行きたくない…」
フリタニアに悪夢の打開策を見出したゼリオは、嫌々ながらもフリタニアを訪問することにした。
「ゼリオ様、本当にお一人で行かれるのですか!?せめて私だけでもご一緒させてください!かの国は異質で、なにが起きるかわかりません!」
「フリタニアの王に会うには1人の方が都合がいいんだ。
それにあっちからすると私達が異質なんだ」
フリタニアへの空の旅は
終戦により国境警備や警戒が緩くなったおかげで、すぐに終わってしまった。
門番は硬く門を閉ざしている。
『通してくれるかなぁ…』
差別的な扱いを受けるブリタニアは鎖国まではいかないが、他国との国交を結んでおらず、入国が難しい。
「私はルーブルトの新王ゼリオと言う。急な訪問申し訳ない。1人で来た。迷惑はおかけしない。申し訳ないが、王に合わせてくれないだろうか」
1人で来訪して来た一国の王の物腰低い態度に、門番の態度も変わり、王宮に話を通してくれ、入国を許された。
こちらへどうぞ。
王宮までの道中、ゼリオは昔見た光景と照らし合わせた。
『最初見た時は、カルチャーショックというより、別の世界に迷い込んだような感覚になったけかな…。ここの人たちは肉体からして私達と違うし』
フリタニア人は屈強な体を持っているが、動きは素早く、武器を扱うことに長けた民族。
唯一魔法が使えない民族であるが、その肉体を用いた動力は、魔法国にも引けを取らない発展をもたらしていた。
王宮到着後、ゼリオは謁見を許された。
「ゼリオ、久しいな。本来なら他国の者など通さんが、お前が1人で来たとなれば、話は別だ。何様で来られた?」
「お久しぶりです。ユーサー王。
本日は、終戦のご報告とご相談があり、参りました。」
「アーロン王の死によって終戦したと聞く。
だが、我らは魔法使いの争いに興味は無い。終戦したからとてそれは同じ。相談とは終戦パーティーにでも出ろとでも?」
周りの家臣が微笑する。
「幾千年にも続いた争いで、多少なりともご迷惑をおかけしたので、その謝罪とご報告をしたかったのです。」
鞄から美しく装飾された酒を取り出すと、王の指示でその酒を家臣が受け取った。
「パーティーに出て頂けるなら、ユーサー王、貴方が1番のVIPゲストとなるでしょう。
ですが相談とは、悪夢についてです。
この国には悪夢が存在しないと聞きます。
それは本当でしょうか。」
「事実である。外の連中は悪夢に侵されているそうだな。」
「そうなのです。世界は混乱しております。
噂通り、フリタニア人には感染しないのですね…」
そして、大きめな声で独り言を始めた。
「悪夢は魔力がある者にしか感染しないということか。いや、それであれば悪夢の原因は魔法。魔法であれば、治癒魔法で治るず…」
「ゼリオ王よ、我らとお主らの違いは、魔法が使える使えないでは無い。魂が違う。」
顔を上げ、ユーサー王と顔を合わる。
「魂??ですか?」
「魂とは経験だ。魂が経験した体験が違うのだ。」
『意味不明だ…』
国に戻ったゼリオは、髪をぐしゃぐしゃに掻き乱すのであった。
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ゼリオ→ポール・ウォーカーさん
ゼンフィス→オーラン・ブルームさん
アーロン→イーサンホークさん
ユーサー→老けたジェイソン・モモアさん
のイメージで書いています。