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エバーシンス  作者: k-ta
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桐島専務の配慮により、会社に出社せずに退職でき、離職票も貰うこともできた。引越してからしばらくは働く気はなかったものの、やはり仕事はしたい思いが出てきた、具体的にしたい仕事が何なのか定まらなかった。3ヶ月は無収入で、それから6ヶ月失業手当が出るので、9ヶ月の間に探そうと思っていた。会社を出てしまえば、自分には目にみて、すぐにわかる資格や特技がないことがわかり、自分の8年のキャリアで代表する仕事も面接で理解して貰えないこともわかった。危機的状況であることがわかった。3ヶ月はあっという間に過ぎ、失業保険は貰えるものの、焦りが出てきた。とにかく、どんな仕事がしたいではない、正社員で働けるところを探していくしかない。ただ生活の乱れがすごく、これも元に戻していかなければならない。ゲイであることは認めてないくせに、飲みには出たりし、矛盾している自分がいた。携帯を変えてしまった為、以前の知り合いに連絡もできず、一人で久しぶりに新宿2丁目に出てみた。出てみたはいいが、どこにいけばいいのかわからない。20代前半は何も恐れることなく、知らない店に入れたのに、今は、知らない店に入ることにも勇気がいることに気付いた。いつもの上野に行けばよかった。と2丁目をあてもなく歩いた。今は携帯の出会い系アプリがメジャーになってきて、顔も知らない人と、会う約束して、飲み屋にいく方法はあるが、今からそのやりとりをするのは非常に面倒だった。

「またまた悩んでるな青年、いや中年?」

後ろから声がかかった。中野だとすぐにわかった。

「凄いな。来たら会えるのか」

「嗅ぎつけるよね」

「なんか、icチップを埋め込められてるんじゃないか」

「面白くないよ。なんかお悩みかね」

「とりあえず、無職」

「あら、結城にはないキャラでいいじゃん。立ち話も何だから、飲みに行こう」

「ああ。10年ぶりくらいか」

「お互い未成年だったはず」

12年ぶりに再会したのに、それを感じさせなかった。お互いにこれまでのことを話して、中野は会社を辞めた経緯を鼻で笑っていた。そのくらい軽いことだと思わせてくれることがありがたかった。中野は達と言う名前で、2丁目のオナベバーで働きながら、バイトもして生活しているようで、ただ周りの理解はなかなか進まず定職にはつけてないようだった。

「中野が中学の時にいじめ撃退法を教えてくれたから、今回助かったんだよ」

「使う場面あったんだ」

「人の弱みにつけ込んで、脅迫して、金を無心する奴がいてさ」

「そういう力はついたのか。よかったよ」

「智は力なり」

「何、急に」

「いや、こういうことかと、15年以上たってわかるとはね」

「相手がバカじゃないと通用しないけどね」

「バカでよかったよ」

「やっぱ結城、ちょっとは変わったよ。少しは強くなってる」

「無職になって、何にもしない期間がよかったかも。生きるか死ぬかくらい生活に困ると、悩んでる暇ないもんな」

「そうそう。悩むって、金持ちの道楽よ」

「当てはまらないこともあるけど」

「聞き流せよ。ちっちぇえ男だなぁ」

「ちっちぇえ男だよ。まだまだ」

「仕事なんかしたいことあんの?」

「うーん。よく考えたら、文具の商品開発したかったのに、それができなかったのが、心残りかな」

「商品開発。ん!」

中野は徐ろに、ポケットから携帯を取り出し、電話をかけた。

「あっ、もしもし、瑞穂さん。お久しぶりです。遅くにすみません。今大丈夫ですか?  よかった。あのですね、瑞穂さんところの職場、今求人出してます?   出してない。   そっか。  いや、ぜひ紹介したい人がいて。   はい。コタニあるでしょ。あそこ辞めて今無職の同級生がいて、開発の仕事をしたいらしくて。   はい。    はい。そうなんです。   でも求人されてないなら、しようがないですね。    はい?   えっ、会ってくれる?いいんですか?

わぁありがとうございます。    はい。あっ、そいつ無職なんでいつでもいいです。   はい。  来週の火曜日。はい。   はい。   わかりました。じゃあ14時にそちらに伺わせますので。   すみません。助かります。   あっ、ダメだったら、気にせずダメって言ってくださいね。   はい。  はい。そうでした。ダメっていわないはずがなかったです。   はい。また東京来た時に遊びに来てくださいね。   はい。  はい。遅くにすみません。   はい。では失礼致します」

電話を切って、笑いながらこちらを見た。

「文具の会社の面接決まったよ」

「えっほんとに?」

「今度の火曜日14時から、ちゃんと開けとけよ」

「なんてとこ?」

「あっ、なんてとこだったっけ?」

「おい。」

「メールで聞くから、返事あったら、連絡する」

「連絡先知らないんだけど」

「あっ、そうだったっけ?」

「12年前、連絡先聞いたら、交換しないって言ってたよな」

「そんなこと言った?」

「言った」

「若気の至りだな。連絡先交換しましょ」

「調子いいな」

「とりあえず、場所はさ、大阪の天満あたりだったような」

「はっ?大阪?」

「うん。大阪」

「聞いてないぞ」

「今言ったからね」

「大阪って。ちょっと、考えもしてなかった」

「まっ、軽い気持ちで行ってきなよ。求人してないらしいから、たぶん採用されないし」

「採用されないなら、行ったってしようがないだろ」

「ばかだね。そこがダメでも、どっか紹介してくれるかもでしょうが」

「はぁ。でも大阪って」

「絶対行けよ。大事なお客さんなんだから」

「まじかぁ」


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