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午後6時を過ぎた頃に、上原は、中川美玲に電話をかけた。上原は会社を早退し、そのまま家に帰るわけでもなく、銀座をブラブラしていた。7回くらい呼び出し音が鳴ったころに、電話に出た。
「お疲れ様。仕事終わった?」
「ついさっき会社出たところ」
「そっか。よかったら今からご飯行かない?今銀座にいるんだけど」
「今日はやめとく」
「えー。話聞いて欲しかったな。昨日からほんと頭にきてて」
「聞いたよ。てか会社中噂になってる」
「えっ、そうなの。最悪。今日もさ、なんか私だけが説教されて、また千曲が、余計なこと言いにわざわざ来たんだよ。あいつまじ、何?ほんとキモくて」
「美織は、悪いことをしたって思わないの?」
「私が悪いことなんて一つもないでしょ」
「あんた最低だね」
「なんて」
「最低」
「最低なんて、美玲に言われる筋合いないんだけど」
「確かに私が言う筋合いはないね。会った時からそうだったもんね。私を下に見て、いつも偉そうにしてたもんね。私からは言われたくないよね」
「そんな風に思ってたの?」
「思ってたでしょ?すぐにわかるわよ。とりあえず、私と連んでたら、当たり障りないどころか引き立て役にちょうどいいって」
「何、その捻くれた考え」
「まぁいいわ。ただ美織のやったことは、人を土足で踏みつけたのと同じ。結城さんのことを、本人に直接ぶつければいいのに、会社でしかもみんなのいる前ですることじゃない。もう、私に連絡してこないで、ムカついて、声も聞きたくない」
と、一方的に切られた。携帯を叩きつけてやりたい気分だった。どうして、美玲にまでここまで言われないといけないのか。どいつもこいつも、私の思い通りに動かない奴は消えてなくなればいい。この気持ちをどっかで吐き出さないと、と、大学時代の男友達に連絡した。上原に気があり、なんでも言うことを聞いてくれる男だ。案の定、遊んでくれるとのことで、この鬱憤を晴らす事にした。




