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駅に向かいながら大きな欠伸をする。蟹鳥染の空に、乾いた空気、露出した肌に刺すような寒さが足取りを重くする。
「おい。若人よ、背筋伸ばして歩け」
「眠い」
「早く寝ないからだろ」
「当たり前のこと言った」
「何ここは、いちいち大喜利みたいなことしないといけないのか」
「結城さんにそれ求めても、つまんないからいいです」
「朝から、血圧あがるぅ」
「だいたい昨日さ、朝帰って、なんでわざわざ荷物持ってまた戻ってくるかね」
「もう思ったんです。ルームシェアしたらいいんじゃないかな」
「無理無理。福ちゃん、全然片付けないし、結果俺の出費ばっかりになりそうだもん」
「ルームシェアになったら、各々の部屋できるから、自室だけ汚すから大丈夫です」
「ゴキブリとか湧いてきそう」
「いくらなんでもそこまではないですよ」
「あー朝から疲れる。黙って行こ」
結局、転がり込んできた福岡を邪気にできないどころか、違和感を感じなくなっている。もう帰ってくれとも言うこともなく、3日が過ぎていた。ただずっと一緒にいたわけではない。福岡は家に帰って荷物を取りにいったり、買い物に出かけていったり、とにかく自由すぎる行動に、自分にはできないと思うものの、嫌な気分にはならなかった。




