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18時。定時に仕事を終え更衣室に足早に向かい、たくさんの女性たちが、賑やかに会話している中を気にもせず、帰り支度を済ませて、「お先に失礼します。」と中途半端な音量で発し、更衣室を出て、社外へと急ぐ。最寄りの駅を通過し、東京駅方向へと向かっていく。勤務を終える時間はこのあたりは非常に混雑する。大通りから一つ路地を曲がり少し歩いて右手に待ち合わせをするカフェがある。そこには、この時間にお茶をする人は少なく、この大量の人の中でも、大抵の場合座ることができる。入店して、空席を探す。窓ぎわがよかったが、あいにく空いてなく、店内中央あたりの空いた席を確認して、注文に向かった。アイスカフェラテを受け取り、先程目星をつけた場所へと向かう。誰にも取られていない。念のため窓ぎわが空いてないか、空きそうではないか見渡すが、まだまだのようだった。席につき、一口つけたところに、中川美玲が店内に入ってきた。美玲も席を確認できると、すぐさま注文に向かった。
「お疲れ〜。」
「お疲れ。どうよ?」
「疲れたぁ。なんだろうね。気を使いすぎて、もう頭がどうかなりそう。」
「まだ水曜終わったばっかだよ。ヤバいね。」
「あと2日が長い。」
「そういや金曜何時からだっけ?」
「7時から。なんか面倒になってきたな。」
「なんで、行こうよ。」
「だって出会いないじゃん。」
「バカね。来てるメンツはどうでもいいのよ。そっから、道拓いていくんだから。」
「そっか。そっか。疲れすぎて、目的見失うとこだった。」
「ちゃんと種をまいていかないと。」
「あっ、今日見たよ。」
「なんで、イマイチよ。スペック最高じゃん。」
「海外事業部ってのがね。いつ海外赴任になって、いつ帰られるかもわかんないんだよ。」
「そこまで考える?」
「考えるよ。たとえば付き合ってすぐ、海外赴任になったら、どうすんの。あとうまくいって結婚しても、海外について行くか、単身赴任させるかも問題だし、海外に住むなんて無理。旦那とか子どもだけでしょ、知り合いが。日々耐えられない。日本に帰ってくるのが、絶対3年後とか保証ないでしょ。イタリアいって、次日本じゃなくて、ドイツとかだったらどうすんの。」
「そこまで考えて、交際相手決めるかね?」
「いやいや、考えてない方が怖いわ。」
「そんなこと考えてたら、誰もいなくない?」
「とにかく、私は東京にずっといたいの。」
「まあそれはわかる。」
「でしょ。それに今さら田舎なんて、絶対無理。」
「じゃあ私、杉内さんに声かけちゃお。」
「なんかずるい、私もいこ。」
「話が矛盾してんじゃん。」
「海外赴任やめて、管理職系にいってもらうってのも手だなと思った。」
「たしかに。でもそんなにうまくいくもんかしら。」
「それは、こっちのもっていきかた次第でしょ。」
「やっぱ上原、怖い。」
「褒めてくれて、ありがとう。」
この時間のために私は働いているのかもしれないと思う程、この時間が楽しい。