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メールの返信は少し経ってからあり、仕事を終えて、会社近くのカフェで待っていると、上原は少し不機嫌な表情でやってきた。今までは、会うだけで気持ちが上がりときめいていたのに、気持ちは上がらなかった。梶村からの話を聞いたからだろうか?
「急に呼んでごめんね」
「大丈夫」
「実は話があって。イルミネーション見に行こうとした日に話したけど、改めて結城さんとのこと協力はこれ以上できない。協力するって言っていたのに、中途半端になってごめん」
「いや、こっちもそんなお願いして、悪かったと思ってる。ごめんなさい。自分で頑張ってみる。今までありがとう」
なんだか元気がないのがわかる、同期会のことを自分が知っているからバツが悪いのもあるのかもしれない。
「じゃあ私いくね」
この重たい空気から切り出してくれたのはありがたかった。背を向けていく姿をみて、自分にもケジメをつけないと、ちゃんと終われない。終わらせないとという感情が沸き立ち、店を出て行く彼女を追いかけた。
「上原」
「ん?」
「俺、上原のこと好きだった。だから、この半年くらいだけど、すごく楽しかった」
自分の発する言葉にびっくりした。「僕はあなたが好きです。付き合って欲しい」ではなかった。もう終わらせていた。自分の中にもう上原に気持ちがないのはわかったが、どうして、まだ引っかかりがあるのかわからない。
「ありがとう。その気持ちは嬉しい。私も楽しかったよ」
そのまま行ってしまう彼女を見ながら、終止符を打てたことには、肩の荷が降りて、スッキリした気持ちになっていたが、これは彼女が自分の気持ちを知ってた上で、協力を頼んだことを知ったために気持ちが冷めたわけではないことは分かっていた。頭の中ではそうかもしれないとわかっていたのかもしれない。その事で傷ついたとは思わなかった。ただわかったのは、やはり彼女にとって、自分が大事な存在ではなかったことだった。




