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8.

8.


俺は新しい機械の開発会議に参加していた、が全く上の空だった。

話し合われている内容が興味のないBGMのように右から左へ流れて行く。

自分でも呆れ返るほど何もかもどうでも良くなっていた。

部長は暫くは心配してくれていたが、やがては俺の存在は無いかのように気にもとめなくなっていった。


仕事にヤル気が出ない。

活力も湧かない。

ただ淡々と毎日が過ぎて行き、一ヶ月あまりが経とうとしていた。


そんなある日


真理「ねぇ、今度の連休に友達と二泊三日で温泉に行って来ていい?」


丈「友達?」


真理「岡さん。岡 絵理さん。学生の時は、あんまり親しくなかったんだけど、この前、街で偶然に再会したの。」


丈「岡 絵理さん?」


真理「うん。地味で目立たない子で私も再会した時は誰なのか分からなかったぐらい。だけど岡さんの方から私に声を掛けて来たの。それから話してたら盛り上がっちゃって「今度、温泉に行かない?」なんて話になっちゃったの。」


丈「岡さんって…もしかして大賀根さん達のグループにいた子?」



真里は 丈 の言葉にドキっとした。カマをかけられている気がししたからだ。 だが 丈 が大学の時に付き合った女性は私一人だし、まして大財閥の大賀根 望代と知り合いのはずがないと思った。

とにかく早く話を終わらせたかったので 丈 の話しに乗っかる事にした。



真理「そう、そう!あのお金持ちのお嬢さんのグループにいたわ。よく覚えていたわね。」


丈「大賀根さんは目立っていたから。どこの温泉?」



真里は行く予定の場所と違う場所を言いたかったが頭が真っ白になって他の温泉地が思い出せなかった。

嘘をつく事が心苦しくて早くこの場から逃げ出したくて本当に行く温泉を言ってしまった。



真理「馬鹿(うましか)温泉よ。阿歩屋(あほや)旅館に泊まるつもり。なんでも凄く良い宿だって評判らしくて…行ってもいい?」


丈「たまには息抜きしておいで。」


真理「本当?嬉しい。有り難う!私が家を留守にして一人で大丈夫?」


丈「大丈夫だよ。」


真理「良かった。それじゃあ、ちょっと欲しい物もあるから買い物に行って来るね。」


そう言って真理は出掛けて行った。

真理は外に出ると嬉しそうに携帯電話を取り出して徹に電話を掛けた。


真理「もしもし?私。今、大丈夫?」


徹「少しなら大丈夫だよ。」


真理「温泉の事なんだけど…」



その頃、 丈 も電話を掛けていた。


丈「もしもし、こんにちは。安野です。」


望代「…えーっ!?安野くん?本当に〜?」


丈「久しぶり。」


望代「本当に久しぶりね〜。幼い頃は良く遊んだけど電話で話すのは高校卒業以来じゃない?」


丈「まぁーね。」


望代「急に、どうしたの?もしかして私にも、まだ脈が有るのかしら?大学の時に、こっそり携帯番号の書いた紙を渡したのに、全く電話して来ないんだから。あれから何十年経ったと思ってるの?いい話じゃなきゃ切っちゃおうかな。」


丈「まぁまぁ。君は大財閥の一人娘で俺は一般庶民。住む世界が違いすぎるだろ。」


望代「そんな事、気にする事ないじゃない。それに今は、こうして電話してきてるじゃない。大事な話なんでしょ?」


丈「さすが幼なじみ。話が早い。岡さんって知ってる?大学の時に君のグループにいたらしいんだけど。」


望代「岡?丘?おか?大学の?…うーん。知らないわ!今でも大学の時の友達とは親しいけど岡なんて人は知らないわ。誰なの、それ。」


丈「やっぱり、そうか。」


望代「えっ、何?どういう事なの?」


丈「真理が今度の連休に二泊三日で温泉に行くって言うんだ。君の友達の岡 絵理さんとね。」


望代「へぇ〜それは怪しいわね。間違いなく浮気ね。」




つづく

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