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6.

6.


俺は、何処をさまよい歩いたのか、気がつくと知らない公園のベンチに腰掛けていた。

さっきのボーイの話ではモデルみたいな女性はブランドのバッグを嬉しそうに抱きかかえ浦道という男とベッドに腰掛けていたという。

その話を聞いた時、俺は鈍器のような物で頭を殴られたような衝撃をうけた。

なぜ真理が?どうして真理が?…疑問しか浮かんでこなかった。

俺のせいなのか?

落ち度を考えようとしても頭の中が真っ白になって何も考えられなかった。

この後このまま俺は家に帰ってもいいのだろうか?

真理と顔を合わせて平気でいられるだろうか?

いったい、どんな会話をすれば…?



……公園のベンチで何時間、悩んだだろう。

気がつくと辺りは日が沈み真っ暗だった。

いっそこのまま、この闇に飲み込まれてしまえたら…



俺は、ふと思った。まだ真理が浮気をしているとは限らないのではないか?

それに何も俺が悪い事をした訳じゃないんだから普通の顔をして、いつも通りの態度を取っていればいいのではないか?

自分に言い聞かせながら立ち上がると、ゆっくりと公園を出た。




真理「あら?もう、こんな時間。そろそろ帰るわ。」


徹「なんだ…もう、そんな時間か。」


真理はベッドから出ると下着を身につけた。


真理「今度は、いつ会える?」


徹「うーん…そうだなぁ。俺も忙しいから何とか時間を作るよ。また連絡する。」


真理「じゃあ今度は泊まりで温泉にでも行かない?」


徹は今日1番驚いて飛び起きた!

徹が飛び起きた事に真理もビックリした。


徹「それは本気で言ってるのか?嘘じゃないよな?」


真理「私が嘘ついた事あった?」


徹「……いや、ない。分かった!それじゃあ二泊三日で、どうだ?」


真理「いいけど。大丈夫なの?」


徹「大丈夫だ!何とかするよ。そう言う君こそ大丈夫なのか?」


真理「私も何とかするわ。」


徹「よし、分かった。決まりだ。今度は二泊三日で温泉旅行だ!」


徹は子供のように喜んでいた。

真理は少し呆れたような表情で見ていたが、内心は嬉しかった。

そう言う所が浦道 徹の憎めない所で好きな所だったからだ。



小田 真理と浦道 徹の出会いは真理が勤めている会社と浦道 徹の建設会社が取引をしていた事から始まる。

入社して間もない頃、真理が親会社の徹の会社からの発注を間違えてしまい電話で物凄い剣幕で怒られた。

その時、お互いの会社に何千万という損失が出たのだから怒られても仕方はなかった。

いや、まだ電話で怒られただけだからマシだった。

真理も損失額が分かっていたし、もちろん自分の上司達からも、酷く怒られたので、かなり落ち込んでいた。

翌日、会社の社長と上司と真理で徹の会社へと謝罪に出掛けた。

また怒られると思っていた真理は、かなりドキドキしていた。

しかし意外にも徹は「この前は怒鳴り過ぎて悪かった。」と笑顔で許してくれ、食事まで御馳走してくれた。

それから暫くすると真理と徹だけで食事をするようになっていった。




真理が帰宅した時、既に 丈 が家に居た。

電気がついていなかったので真理は 丈 の存在に一瞬ビックリして動揺したが 丈 が具合が悪そうに横になっていたので「あれっ?」と思った。


丈 の具合が悪いのは演技ではなかった。

帰って来る途中、急に具合が悪くなりフラフラになりながら、やっとの思いで帰宅したのだ。

そのまま倒れ込むように横になった所へ真理が帰ってきたのだった。


真理「どうしたの?」


丈「急に具合が悪くなって…」


真理「大丈夫?病院に行く?」


丈「大丈夫だよ。暫く横になっていれば良くなると思うから。」


真理「ご飯は?ご飯は食べれる?」


丈「…分からない。」


真理「じゃあ何か作るね。」


そう言って真理はキッチンに向かった。

丈 が先に帰宅していたのでビックリはしたものの内心はホッとしていた。

丈 の具合が悪いので、あまり顔を合わせなくてイイと思ったし会話も、あまりしなくて済むと思ったからだ。




つづく

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