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2.

2.


真理「もしもし?私。ゴメンね。いまバカ男が出掛けたから。…大丈夫。…うん…うん…分かった。10分から15分で用意するね。…うん…それじゃあ、また後で。」


真理は電話を切ってすぐに服を着替えた。

手際よくメイクをして急々と部屋を出た。



大通りに出て来た真理を見つけて俺は、しっかり目で追っていた。

俺が部屋を出てから、まだ30分も経っていない。

普段と違って、よそ行きのオシャレな服装に身を包んでいる。

足早にバス停の近くまで来た真理は車道に身を乗り出すようにして、どうやら何かを待っているようだ。

おかげで俺の姿には全く気がつかないでいる。

それにしてもバスにしてはバス停より手前すぎる。


暫くすると真っ赤なスポーツカーが真理の前で止まった。

真理はキョロキョロもせず堂々と真っ赤なスポーツカーに乗り込んだ。

俺は慌てて電話ボックスから出た。

今時、電話ボックスで電話を掛けるやつなんていないかもしれない。だけど駅までまっすぐの一本道で細い街路樹しかないから身を隠すには、ここしか思い浮かばなかった。今、考えれば余計に目立ったのかもしれない。

だけど今更、そんな事を考えても仕方がない。とにかく真理を追わなければ!

なんせ相手はスポーツカーだ。

アッと言う間に走り去ってしまった。

それにしても俺とした事が真っ赤なスポーツカーを運転していたのが男なのか?女なのか?それすら見ていない。

真理に気を取られて運転席までを見る余裕がなかったのだ。

しかし、こういう時に限ってタクシーっていう乗り物はドラマのように都合よくは走ってこない。

気持ちだけが焦る。

いっそ走って真っ赤なスポーツカーを追いかけるか?と思った時、バスが来た!

バスか…走るよりは早いだろうか、と思いバスに飛び乗った。

バスの中はガラガラだった。俺は運転席の横に立って真っ赤なスポーツカーを探した。

バスの運転手は嫌な顔をしながら俺の方をチラチラと見た。

俺は、それを無視して前だけを見ていた。

幸運にも真っ赤なスポーツカーを見つけた。

距離にしたら500〜600メートルぐらいは離れているだろう。

なにも無い一本道だから真っ赤なスポーツカーが見えたが、どこかの信号で曲がられてしまったら、もう終わりだ。

さすがにバスの運転手に「あの真っ赤なスポーツカーを急いで追ってくれ!」などとは言えないが…心の中では「早く、早く」と叫んでいた。

その叫びが届いたのかどうかは分からないがバスは一度も信号で止まる事なく真っ赤なスポーツカーとの距離を縮めていった。

それに駅に近付くにつれ渋滞してきた。

真っ赤なスポーツカーとバスとの距離が200メートルぐらいまで近付いた時、ついにバスは信号で止まってしまった。

信号が青に変わってバスが動き出す頃、真っ赤なスポーツカーは左へと曲がって行ってしまった。

捕まってしまった信号の少し先にバスの停留所が見えた!

咄嗟に俺はバスの停車ボタンを押した。

終点の(ひかり)駅の一つ手前の停留所だった。

終点の一つ手前の停留所で降りるやつなんて殆どいないだろう。

しかし、真っ赤なスポーツカーを追うならバスから降りて探した方がイイに決まっている。

なにも俺は駅に行きたい訳じゃないのだから。

バスの運転手は「コイツ、ここで降りるのかよ」と言わんばかりの顔でバスを停留所で止めた。

俺は急いで運賃箱に有りったけの小銭を入れてバスから飛び降りた。

バスの運転手は驚いた表情で暫くドアを開けたままポカンとしていた。

小銭と言っても合計で1200〜1300円はあっただろう。

俺のマンション近くのバス停から、この停留所までは180円だから凄い金額だ。

バスの運転手がポカンとするのも当然かもしれない。

俺は真っ赤なスポーツカーが左に曲がった所まで猛ダッシュで走った…が真っ赤なスポーツカーは既にいなかった。

諦めずに、もう一つ先の角まで走り左右を見た。

一瞬だったが真っ赤なスポーツカーの後部が左の通りから3本向こうの通りへ走って行くのが見えた。




つづく


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