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21.

21.


大賀根 望代はショックを受けていた。

香 から電話で 丈 が亡くなった事を伝えられたからだ。

お互いに面識はないものの 丈 から、お互いに話しを聞いていたのだ。

香 は轟刑部達が帰った後、 丈 の部屋でずっと泣いていたのだ。

どのくらい泣いていたのか時間も分からないぐらい泣いていた。

気が付いて時計を見た時には夜中になっていた。

夜中でも関係なく望代に電話していたのだ。

丈 から何かあった時には望代に相談すれば必ず力になって貰えるからって言われていたのだ。

普段の 香 なら夜中に電話する事なんて有り得ないのだが、気が動転していたのか訳が分からない状態になっていたのだ。

香 と望代は電話で話すのも初めてだったが、 香 の話しを聞いた時に普段は何事にも動揺しない望代ですら 丈 の死には大きなショックがあった。

どのくらい沈黙が続いたのか分からないぐらい時間は過ぎていた。

ただ 香 の啜り泣く声だけが受話器から響いていた。

やがて 香 は小さな声で望代に話し始めた。

「 丈 は自殺ではなく殺された」と。

再び望代は衝撃的なショックを受けて気が動転した。

望代は 丈 が病気で亡くなったものだと思っていたのだ。

望代も 丈 の病気の事は知っていたから、いずれ、この日が来ると思ってはいたが、「自殺ではなく殺された」と聞かされた時は全く想定外の事だった。


望代「香さん、もう一度、話して欲しいんだけど今、何て言ったの!?」


香「はい、 丈 は病気でした…癌でした…生きていられるのも一年未満だったのです…しかし 丈 は亡くなりました…私と救急隊員が部屋に駆け付けた時には 丈 は包丁を胸に刺さった状態でした…救急隊員が警察に連絡をして現場検証をした結果、 丈 は自殺と断定されました…遺書があった事が自殺と判断されました…しかし私には納得が行きません。 丈 は自殺ではなく殺されたのです。」


望代は 香 の話しを聞いて震えていた。

もし 丈 が殺されたとしたら犯人は一人しか居ない。

犯人は小田 真理しか居ないのだと思っていた。


望代「ねえ。 香 さん、もし 安野君が殺されたとしたら犯人は小田 真理だと思うんだけど…」


香「私も、そう思います。ただ彼女が、どうやって 丈 を殺したのかが全く分からないのです。玄関のカギは掛かってたけど指紋が全くなかったのです。」


望代「分かったわ。私、協力するから今から会えない?」


香「はい、有り難うございます。今から…って、そう言えば今は夜中でしたね。ゴメンなさい…こんな遅くに電話してしまって…」


望代「ううん。イイのよ。今から迎えに行くから場所を教えて。」




その頃、真理は絵理に 香 と言う女性に 丈 を奪い取られ私が悪者に仕立てられて追い出されたと自分の都合イイように話していた。

絵理は、それを信じて 香 って言う女性をやっつけてやろうと真理に真剣に言っていた。

真理は、もう関わりたくないと言ったんだけど、絵理は完全に 香 に仕返しする気になっていた。

真理は、こうなったら仕方ないから 香 をとことんウサ晴らしする事にした。

と言っても真理は 香 の事を知ったのは 丈 のアパートの部屋を探し出した時に偶然に 丈 と 香 が一緒に部屋に入る所を目撃したのだった。

それを見た真理は余計にイライラして 丈 を殺す事にしたのだ。

自分は不幸のどん底なのに 丈 は幸せそうにしている所が許せなかったのだ。

香 って言う名前も偶然に聞いただけで、それ以外は何も知らなかった。

しかし絵理は、まだ 丈 が死んだ事は全く知らない。

真理は、こうなったら絵理を利用して 香 も殺してしまってもイイと思い始めていた。




つづく

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