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16.

16.


医者は「このまま入院を」と言ったが 丈 は、それを拒んだ。

強引に入院させる事は出来ないし… 丈 には、末期癌の事は内緒にしてあった。

香 は「 丈、 本人の言う通りにして欲しい」と頼んだ。

医者は痛み止めの薬を処方し渡してくれた。

香 はタクシーで 丈 を送り、そのまま自分も帰宅した。

香 はショックを受けていた。

本当は 丈 の傍に付き添っていたかった。

丈 の事が本当に心配だった。



翌日の昼近くに真理は帰宅した。

寝ている 丈 を叩き起こし

真理「ちょっと!何時まで寝てるの!すぐリビングに来て!」


丈 は昨夜よりは体調が良いような気がした。

リビングに行くとテーブルに一枚の紙が置いてある。

真理は険しい表情で「ここにサインして!」と強い口調で言った。

丈 は無言のまま離婚届けにサインをした。

真理は離婚届けを持って家を出て行った。

丈 は無意識に 香 に電話していた。


香「大丈夫?体調は?」


香 が電話をかけた 丈 よりも先に喋ってきた事に 丈 は笑ってしまった。


香「なに?なんで笑うの?物凄く心配してたのに!」


と言いながら 香 も泣きながら笑ってしまった。


丈「いや、ゴメンゴメン。電話して、すぐに喋って来るから思わず笑ってしまったよ。」


香「もお〜バカ。」


丈「でも御蔭で何かスッキリしたよ。有り難う。」


香「本当に物凄く心配してたのに…でも笑った声が聞けて何か嬉しい。身体の具合は大丈夫?」


丈「うん。昨日より良いよ。それと、さっき離婚届けにサインしたよ。」


香「えっ!?もうサインしたの?…これから、どうするの?」


丈「このマンションは売って、どこかアパートでも借りるよ。本当は今日から仕事だったんだけど…すっぽかしちゃった。」


香「仕事は仕方ないよ…具合が悪かったんだから…病院の先生も言ってたよ。ストレスで内臓器官が悪いって…」


丈「昨日は本当にゴメンね…でも香さんが居てくれて本当に助かったよ。」


香「うん…仕事はさ、私が働いてる会社に来る?私が社長に話してみるから。」


丈「うん…有り難う。とりあえず今日から行く会社に電話してみるよ。」


香「うん…分かった。それで本当にダメだったら言って。私が社長に掛け合うから。傍で仕事しててくれた方が私は安心だし」


丈「ダメだった時は本当にお願いするよ。」


香「あっ!私、そろそろ仕事に戻らないと。怒られちゃう」


丈「あっ、ゴメン…それじゃまた。」


そう言って電話を切った。

丈 は直ぐに今日から行くはずだった会社に電話をした。

色々と事情を話して会社には分かって貰えた。

体調を治して来週から出勤する事になった。

丈 は電話を切ってから、また直ぐに電話を掛けた。


望代「もしもし…」


丈「安野です。」


望代「ねえねえ、安野君。アナタ、私のグループの会社で仕事しない?」


丈「いや、新しい会社が決まって来週から出勤なんだよ。」


望代「そんな会社、断っちゃいなさいよ。それよりもウチのグループの会社で役職にするから働きなさいよ。」


丈「いやいや、いいよ。君にコキ使われそうだからね。」


望代「何それ?…私は、これでも部下思いなのよ。」


丈「冗談だよ。それより離婚したよ…」


望代「なに?また冗談を言ってるの?」


丈「いや、離婚したのは冗談じゃないよ…本当だよ…」


望代「えっ、いつ?」


丈「さっきだよ…離婚届けにサインしたよ…」


望代「許せないわ!私の安野君を散々、苦しめて。」


丈「おいおい、なんか変な事するなよ。」


望代は 丈 の言った事を全く聞いてなかった。




つづく

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