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神選組異聞録  作者: ぱったりくん
第一章
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3

「第二剣限解放──<限定解刀>」


 剣崎の言葉に攘異刀の<御珠みたま>が、瞬いた。三重に圧宿魂封あっしゅくこんぽう処理を施された魂核融合炉の第二封印剣限を解除。稼働を開始する。


 神の御魂みたまと剣崎の靈魂との魂核融合により、神の持つ権威の力いわゆる神威が発生した。高エネルギー化したエーテルが、幽体エーテル・ボディの経絡氣脈網と肉体マテリアル・ボディの神経回路網を繋ぐ靈源チャクラへ流れた。いわゆるチャクラが回転し始め──


《──魂動変速機構アートマチックトランスミッション起動》


《──変速操作チャクラ・シフトチェンジ第肆速靈源フォース


 ギアを変えるように、チャクラの回転速度が段階的に上がり、


《──超臨界緑乃領域グリーンゾーン到達:自然操作能力解放》


 神威は緑の氣光プラーナ(幽体の放射光)を放射した。自然操作能力が解放される。


 臨界クリティカルとは、物質とは性質が異なる界相として、エーテルの界相や精神アストラルの界相へ存在状態が界相転移することだ。空間ごと存在状態が変化した領域ゾーン臨界領域(クリティカルゾーン)と呼ぶ。亜臨界領域、超臨界領域、超々臨界領域(先進超々臨界領域)があり、この領域に到達した者は、七つの剣能を授かるという。


(なんだ……剣崎の体が赤みがかった何かを纏ったと思ったら)


(橙から黄色そして緑へ色を変えながら、どんどん広がって……)


 空也は剣崎の一挙手一投足を見逃すまいと目を皿のようにした。剣崎を中心にゆらゆらと超臨界領域は揺蕩いながら、


(俺はこれを知ってる……)


(そうだ、あれは……)


 考え込む空也をよそに、不意に超臨界領域が、爆発的に膨れ上がった。炎に火精アルコール)を投じたように、一瞬で空也に迫る。


「っ!」


 本能の命ずるまま、飛び退いていた。無意識の反応だ。大きく間合いを取りながら、正眼に構える。


 ──桜炎舞刀流<一本桜いっぽんざくらの構え>


 空也はその状態から左拳を臍前から、水月や胸辺りまで上げた。敵には切っ先の一点が見える構えだ。


「成程、貴方私のゾーンが見えてるのね」


 剣崎は面白がる風に口角を上げた。


「──ゾーン?」


「ゾーンってあれか?超集中状態とかなんとか」


「──」


 剣崎は無言で応じた。答える義理はないと言わんばかりだ。だらりと攘異刀を下げたまま、空也に迫る。悠揚迫らぬ足取りだ。


「ちっ!」


 空也は舌打ちを漏らした。波打ち際の波のように、剣崎に合わせて超臨界領域が空也の間合いを侵食する。


(──あれに入ったらやられる)


 本能に従い、下がり続けた。とうとう競技線のギリギリまで追い詰められる。


 剣崎の間合いは現在、約七メートル程だ。遠隔攻撃手段がない以上、踏み込むしかない。


(覚悟を決めろ!)


 空也の瞳がギラリと光った。攘異刀と共命し、靈力補助による身体強化を足に集中する。


 緊張からやたら喉が乾いた。加速する鼓動に合わせて──


「──破っ!」


 踏み込んだその刹那、


「──眠れ、凍幻鏡」


 剣崎は歌うように告げた。

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