神の国を侵略した龍《ドラゴン》 18
女神隊員はテレポーテーションする気です。が、ためらいがありました。
実は女神隊員は以前脳震とうを起こしたとき、それからしばらくの間テレポーテーションできなくなったことがあったのです。正確にはテレポーテーション自体はできたのですが、テレポーテーションの先でひどい頭痛に襲われたのです。
今佐川市にテレポーテーションしたら、またあの頭痛が襲ってくるような・・・
女神隊員は熟考し、とりあえず1回だけテレポーテーションを試してみることにしました。
女神隊員は覚悟を決めると、部屋の隅に掛けてあるウィッチズハットを見ました。いや、その隣に掛けてある千羽鶴を見たようです。
実はあの日以降も千羽鶴は届けられてました。しかも日を追うごとに千羽鶴は増えて行き、いまや3千羽以上となってました。全部小学生が折った鶴です。女神隊員はその千羽鶴に話しかけました。
「行ってくるね」
次の瞬間女神隊員の姿は、ふっと消えました。
ここは晴天下の街道。歩道に黒い渦巻きが発生し、女神隊員がその中から現れました。が、その途端、女神隊員は頭を、いや、ヘルメットを抱え、うずくまってしまいました。思った以上の頭痛が襲ってきたのです。
「いたたた~ やるんじゃなかった・・・」
しかも狙ったところとはちょっと違うところにテレポーテーションしてしまったようです。
そこに1台のバイクが急停車しました。750ccのバイクです。
女神隊員のフルフェイスのヘルメットとワンピースのテレストリアルガードの隊員服は、ある意味ライダーの装備です。傍らに停まったライダーは、別のライダーが事故を起こしたと勘違いしたようです。
ライダーはバイクを降り、女神隊員に駆け寄りました。
「お、おい、大丈夫か?」
「あはは、ごめん」
と言うと、女神隊員は両手で挟み込むように自分のヘルメットに触れました。そしてヘルメットを脱ぎ始めました。すると女神隊員の巨大な単眼があらわになりました。それを見てライダーは、思わず腰を抜かしてしまいました。
「う、うわ~っ! 一つ眼小僧ーっ!」
女神隊員は急いでヘルメットをかぶり直すと、バイクにまたがりました。
「ごめんね!」
「ちょ、ちょっと待ってーっ!」
と叫ぶものの、ライダーは腰を抜かしたまま。バイクが走り出しました。バイクにまたがった女神隊員は、走りながら鼻唄を唄ってます。
「ぬ~すんだバイクで~」
はてしなく続く森林の上を怪獣が飛行してます。その真後ろを航空自衛隊のF2戦闘機7機が追ってます。さらにその後ろにはテレストリアルガードのストーク号とヘロン号が並んで飛んでます。
ヘロン号のコックピット。シールドとマスクをしている橋本隊員がぽつり。
「ふっ、宇宙人が相手だとうちらが優先だが、怪獣が相手だと先に現場についた方が優先か」
倉見隊員が応えます。
「空自の腕前を拝見しますか」
怪獣の眼から見た光景。森林がはてしなく続いてます。遠くにダム湖が見えてきました。その湖を越えて行きます。怪獣はここでつぶやきました。
「ここまでくれば、もう人間に害はないな」
山肌が剥き出しになってる山が見えてきました。ブレーキをかけるように怪獣は翼を大きく広げ、その山に着陸しました。
迫って来る7機のF2戦闘機。怪獣はそれを見てつぶやきました。
「久しぶりにこの魔法使うけど、ちゃんと使えるかな?」




