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女神 1~10章(全面推敲版)  作者: のどか
第4章 前方の敵後方の敵
80/380

前方の敵後方の敵 22(終了)

 自動ドアが開き、上溝隊員が入ってきました。この部屋で発生した音は外部に漏れることはありませんが、女神隊員が開けた穴のせいで海老名隊員の悲鳴は思いっきり外に漏れていたのです。それを聞いた上溝隊員は、すでに慌てた状態になってました。

「い、いったい、何があったの!」

 海老名隊員は上溝隊員を見て、

「お願い、救急車を呼んで、速くーっ!」


 夕焼けの道路を1台の救急車がパトロールランプを点灯させ、走ってます。けたたましいサイレン。

 その車内では隊長が寝かされていて、その傍らで海老名隊員が隊長の手を握ってます。海老名隊員は大泣きしてます。

「隊長・・・ 隊長・・・ お願い、こんなところで死なないでよ・・・」

 救急車の後ろを1台のセダンと1台の4WDが走ってます。両車ともテレストリアルガードの車両で、両車ともパトロールランプを点灯させ、サイレンを鳴らしてます。

 セダンの運転席には寒川隊員、助手席には倉見隊員、後部座席には女神隊員が座ってます。女神隊員はフルフェイスのヘルメットをかぶってます。

 4WDの運転席には橋本隊員、助手席には倉見隊員が座ってます。5人ともかなり深刻な顔をしてます。


 病院の処置室の前の廊下です。ストレッチャーで隊長の身体が運ばれてきました。さっそく医師がスタッフに命令です。

「胸部レントゲン撮影を!」

 隊長の身体はさらに奥に運ばれていきました。そこに6人のテレストリアルガードの隊員が駆け付けました。橋本隊員がその医師に質問です。

「どんな状況ですか!?」

「たぶん心臓の疾患でしょう。心筋梗塞か狭心症か・・・ すぐに手術に入ります!」

 その後隊長の病気は急性心筋梗塞とわかり、直ちにカテーテル手術となりました。右手首からカテーテルと呼ばれる管を入れ、それを心臓まで挿入。狭窄してる冠動脈を拡張して治療終了。手術そのものは10分程度で終わりました。


 それからしばらくして、隊長は目覚めました。

「は・・・

 オレはまだ生きてる・・・のか?」

 隊長はベッドに寝かされてました。どうやら病室のようです。胸には複数の心電図の電極が取りつけられてます。左腕には点滴の針が刺さってます。窓にはカーテンがかかってますが、隙間から見える外はとっぷりと夜です。

 だれかが立ち上がったような気配。と同時に、

「隊長」

 の声が。隊長が振り返ると、そこにはヘルメット姿の女神隊員が立ってました。隊長は女神隊員に話しかけました。

「ふっ、あんたか・・・

 帰って来てしまったようだな。ふふ、なんか、恥ずかしいなあ・・・」

「ほんとうはテレストリアルガードの隊員みんなこの病室にいたんですが、先生がもう大丈夫だと言ったから帰りました。いつまでもテレストリアルガード基地をからっぽにしておくことができないって判断で。

 海老名さんは私と一緒に残ると言ってましたが、明日学校があるからって、みんなに説得されて帰りました」

「あは、そっか。で、あんたはなんで残った?」

「またあの赤い女の子が襲って来るといけないと思って、私は残ることにしました。あ、赤い女の子のことはみんなに話してませんから、安心してください」

「そっか、ありがと・・・」

「あの女の子はいったいなんなんですか?」

「たぶん・・・ いや、またあとで話そう。悪い、今はともかく眠いわ」

「はい」

 隊長は再び深い眠りにつきました。しかし、またあの赤い女の子が襲って来るかもしれません。別の怪人が襲ってくる可能性もあります。女神隊員はイスに座ると、寝ずの番を決め込みました。

 でも、翌朝陽が昇る時刻に隊長が目覚めると、女神隊員はイスに座ったまま、眠ってました。隊長はそんな女神隊員を見て、こうつぶやきました。

「ふっ、ありがとうな」

 今日も窓の外は晴れのようです。

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