女神の1番長い日 8
ストーク号の2人が倒れている宇宙人のところに来ました。うなじにビーム砲を喰らったせいか、宇宙人の長髪はボロボロになってます。
隊長は一般の隊員を見て、
「毒と放射能は?」
一般の隊員は手にしてた計測器を見て、
「ありません!」
「よし!」
隊長は右手にしてたグローブを取り、宇宙人の首筋に触れました。
「息はあるな」
そこにヘロン号の2人が到着。
「隊長!」
2人もヘロン号機内で被ってたヘルメット(ヘッドアップディスプレイ)とは違うフルフェイスのヘルメットを被ってました。ストーク号の2人と同じヘルメットです。この2人もシールドを閉じてます。
隊長が2人に命令しました。
「収容しろ!」
「はい!」
ベテランの隊員は宇宙人の頭の方に、若手の隊員は脚の方に廻りました。ベテランの隊員の手が宇宙人の身体に触れた瞬間、その身体がふわ~とひっくり返りました。すると地球上では絶対ありえない一つ眼が露わに。ベテランの隊員はその閉じた眼を間近で見て、気分を害してしまいました。
「うわっ、きも~っ!」
その発言を聞いた隊長は、ベテランの隊員を横目で見ました。シールドのせいでわかりづらいのですが、どうも怒ってるようです。
ベテランの隊員は宇宙人の両腋の下に手を入れ、若手の隊員は両足を持ちました。
「こいつの顔はあまり見たくないわ。よし、行くぞ!」
「はい!」
2人はタイミングを合わせるように、同時に、
「よいしょっと~っ!」
と掛け声。そのまま宇宙人の身体を持ちあげ、運んで行きました。隊長はそれを横目で見てましたが、
「隊長!」
その呼びかけに隊長が振り返ると、ストーク号の一般の隊員が巨大な飛行物体の残骸を見てました。その周辺には2mくらいの長さの円筒形のカプセルが複数散らかってます。一般隊員はそのカプセルを見て、
「隊長、これ、なんなんでしょうねぇ?」
隊長は1つのカプセルの前でしゃがみ込みました。そのカプセルは一部破れていて、子どもらしき肢体が見えます。
「子ども?・・・」
隊長は先ほどの一つ眼の宇宙人のセリフを思い出しました。
「ふざけんな! この船には5000もの難民が乗ってたんだ!」
「ほんとうに難民船だったのか、この船は?・・・」
その隊長のつぶやきに、一般の隊員はびっくり。
「ええ、我々は難民船を攻撃してしまったんですか?」
「ああ、ジェノサイドやっちまったようだな・・・」
ここは小さな会議室。折り畳み式の長テーブルが壁ぎわに設置されてます。そのテーブルに背を向ける感じでパイプイスが置かれてます。そこに先ほどの宇宙人が座らされています。
宇宙人の両手は後ろ手になってます。その両手には手錠がかかってます。サポーターのようなものを鎖でつないだ変わった形の手錠です。鎖は途中テーブルのパイプ状の棚を通ってます。宇宙人は身動きが取れない状態になってるのです。
宇宙人は先ほどテレストリアルガードの隊員が被っていたフルフェイスのヘルメットを被ってます。ただ、下りているシールドは強い偏光グラスになっていて、中の顔を見ることはできません。首から下はテレストリアルガードの隊員服になってます。
宇宙人の目の前の天井には、ドーム型の監視カメラがあります。宇宙人はそれを凝視してました。