前方の敵後方の敵 21
女の子はマントと一体になったフードを目深に被ってます。その手には弓矢が握られてます。すでに矢は番われてます。女の子が口を開きました。
「前にも警告しましたよね。あなたは殺し過ぎました」
隊長は応えます。
「覚悟はできてるよ。さあ、やるんならやってみろ!」
女の子はふっと笑うと、ちゅうちょなく矢を射ました。その矢が隊長の心臓に刺さりました。矢はアサルトライフルの銃弾を数十発喰らっても絶対破れないテレストリアルガードの隊員服をいとも簡単に突き刺さったのです。
「うぐっ・・・」
けど、隊長にはまだ息がありました。隊長は自分の胸に中途半端に刺さった矢を見て、
「くそっ、なんだよ、こりやぁ・・・ ちゃんと中まで矢が刺さってねーじゃねーかよ! 一思いに殺せよ!」
女の子はフードで目が見えませんが、口元は笑ったように見えました。女の子は次の矢を番えました。
隊長絶体絶命! が、ここで壁に開いた大きな穴から、女神隊員が突入してきました。
「隊長!」
赤い女の子が矢を放ちました。女神隊員は隊長の前に立ちふさがり、ハニカム構造のバリアを張りました。バリアを張るポーズは特に決まってませんが、今回は片ひざを付き、両腕を真っ直ぐ伸ばし、両掌を目いっぱいに広げ、バリアを発生させました。
そのバリアが矢を弾きました。それを目の当たりにして、女の子は驚きました。
「え?」
さらに女の子は女神隊員の剥き出しになってる単眼に注目。そして愕然。
「な、なんであなたがここに?・・・」
女神隊員は右手の指で拳銃の形を作って、光弾を発射。それが女の子の喉元に命中。女の子の身体は吹き飛ばされ、背中から壁に激突。そのままずるずると壁に沿って倒れ込みました。
女神隊員は右手の指で拳銃を作ったまま、女の子のところまで小走りで進み、とどめに光弾を2発発射。その光弾が女の子の心臓を直撃。
女神隊員は女の子の生死を確かめるべく、そのフードをめくりました。
「ええ?・・・」
女神隊員は驚きました。その幼い女の子は女神隊員と同じ単眼だったのです。ただ、女の子は鼻のような小さな突起があります。女神隊員にはそれがありません。明らかに違う人種でした。
女神隊員は直感しました。この身体は仮の肉体。本物は別のところにある・・・
と、怪しい女の子の身体は衣服ごと微粒子になり、そのまま風に流されるように消えてしまいました。
「隊長! しっかりして! 隊長ーっ!」
突然の悲鳴に似た声。女神隊員がはっとして振り向くと、海老名隊員は隊長の身体の前で両ひざをついてました。隊長の意識は消え消えです。
「ああ・・・」
隊長の胸に刺さってた矢が、やはり微粒子のようになり、そのまま消え去りました。
隊長は海老名隊員を見て、なんとか口を開きました。
「えびちゃん、悪いがテーブルの上にある石・・・」
海老名隊員がテーブルの上を見ると、そこには小石が転がってました。
「その石を大事に保管しておいてくれ・・・
それから、2人とも、今見た怪人は絶対口外しないでくれ。頼む・・・」
隊長の首がガクンと落ちました。それを見て海老名隊員と女神隊員は愕然。海老名隊員は涙声で思いっきり叫びました。
「隊長ーっ!」
自動ドアが開き、上溝隊員が入ってきました。




