女神の1番長い日 7
これを聞いて一般の隊員が失笑しました。彼はこの隊長の脅しを何度か聞いたことがありました。けど、それで誰かが死んだなんて話、1度も聞いたことがないのです。なのにこの脅しを聞いた人物は、なぜかみんなびびってました。
実は公表してないだけで、実際3人が謎の死をとげてました。死んだ人はテレストリアルガードの関係者の親族ばかり。テレストリアルガードはなんでも秘密にします。3人の死も秘密にされました。そのせいで一般の隊員にまで情報が伝わってなかったのです。
と、無線から声が聞こえてきました。かなり慌ててます。
「ま、待て!」
待たされた隊長は怒り心頭。
「ようやく反応したか、このボンクラが!
今未確認飛行物体の墜落現場にいるが、なんか自衛隊のヘリコプターがこっちに向かってるようだが、なんのつもりだ?」
「それは情報収集だろ」
「はぁ!??
なあ、ボンクラ! テレストリアルガード法の条文を言ってやろうか!?
宇宙からの侵略行為があった場合、第一に防衛責任があるのはテレストリアルガード。その他の組織はテレストリアルガードの要請がない限り、関与してはならない!
我々が要請しない限り、自衛隊は動くことはないはずだが!?」
「戦闘には参加しないつもりだ。我々の目的は、あくまでも情報収集だ!」
「そっか・・・ あんたの孫娘、今7歳だったかな? ふっ、かわいそうにな」
「わ、わかった。ヘリコプターは引き返えさせる。それでいいだろ!」
プツン。無線が切れました。隊長は得意げに、
「ふっ、わかりゃいいんだよ!」
ここで一般の隊員が隊長に呼びかけました。
「あの~ 隊長、よろしいですか?」
隊長は一般の隊員を見て、
「ん、なんだ?」
「あの宇宙人の身体ですが・・・」
ストーク号の眼下、たった今撃退したばかりの巨大な一つ眼の宇宙人の身体が消えてました。隊長は驚いてます。
「お、おい、消滅したのか!?」
「いいえ、縮小です」
モニターに地面にうつ伏せで倒れてる人の身体が映し出されてます。服装からして一つ眼の宇宙人のようです。
「我々と同じサイズになりました」
「な、なんだ? 今まで巨大化してたのか?・・・ とりあえず降りてみるか」
隊長はヘルメットに一体になったヘッドセットに、
「ヘロン号、宇宙人を回収するぞ!」
すると無線で反応が来ました。
「了解!」
ストーク号が垂直着陸を開始しました。地面近くになったところで、隊長が命令です。
「水平停止!」
一般の隊員が応えます。
「了解!」
ストーク号は地面から50mくらいの高さで空中停止。ストーク号の腹にある円形のハッチが2つ開き、そこから真下に淡い光が2条放たれました。その光がまるでエレベーターのシャフトのようになり、隊長と一般の隊員がゆっくりと降下し始めました。これもヴィーヴルから供与された技術のようです。
ただ、ヘロン号にはこの機能はないらしく、焼け野原に直接垂直着陸するようです。
ストーク号の2人は先ほどとは違うフルフェイスのヘルメットを被ってます。2人ともシールドを閉じてました。ヘルメットにピタッとはめ込まれた機密性が高そうなシールドです。
2人が地面に到達しました。と同時に光は消えました。隊長は自分のヘルメットのシールドを指差し、一般の隊員を見ました。
「何かあるといけないから、こいつは閉じておこう!」
「はい!」
「じゃ、行こっか!」
2人は歩き出しました。