宇宙人受難之碑 19
黒装束の男のフードが風圧で飛びました。その瞬間一つ眼のドクロの顔が思いっきりあらわになりました。それを見て車内にいる4人全員が恐怖に包まれました。
「バ、バケモノだーっ!」
怪物が鎌を振り上げました。そして大きくスイング。鎌の切っ先はフロントガラスやハンドルをスルーして、運転している男を袈裟斬り。男の身体に衝撃が走ります。
「うぐっ!」
クルマはコントロールを失い、崖の方へ。助手席の男と後部座席に座ってる2人が悲鳴をあげました。
「うぎゃーっ!」
クルマがガードロープを突き破り、そのまま落下。途中崖から突き出てる岩にバウンドし、さらに下の川へ。そして川のほとりの大きな岩石に激突し、大爆発しました。
1.5ボックス車が突き破ったガードロープの手前で軽自動車が急停車。運転席から往路も運転していた男が、助手席からは先ほど腰砕けになってた女の子が降りました。運転してた男は崖下を見て嘆きました。
「な、何があったんだよ?・・・」
と、崖下から先ほどの黒装束の男が飛び上がってきました。男はフードをかぶってません。単眼ドクロの顔が丸見えです。女の子の顔は一瞬にして恐怖にひきつりました。
「な、何よ、これーっ!?」
黒装束の怪物は思いっきり鎌を振り上げました。運転してきた男を狙ってるようです。男はそれに気づくと
「ええ!?」
と言って、慌てて振り返りました。走って逃げる気です。
「た、助けてくれーっ!」
が、男が走り出す前に鎌が背中に振り下ろされました。
「うぐっ!」
男は強い衝撃を感じ、そしてゆっくり倒れました。外傷はまったくありませんが、死んでしまったようです。
怪物は今度は女の子を見ました。女の子の顔は恐怖にひきつってます。
「あ、ああ・・・」
女の子は逃げようとしましたが、ヘビににらまれたカエルか、足が動きません。女の子はとっさに両耳をふさぎ、小さくうずくまって、
「やめて! やめて! やめて! やめてーっ!」
と、ただひたすら叫び続けました。
怪物は女の子に鎌を振り下ろす体勢でしたが、その動作を止めました。怪物はちょっと笑ったようです。
怪物は黒いフードをかぶりました。すると怪物の身体は微粒子のようになり、細かく散って消えてしまいました。
テレストリアルガード基地サブオペレーションルーム。隊長が小石を巾着のような袋に戻しました。そしてこうつぶやきました。
「ふっ、ちょろいもんだ!」
と、隊長の背後に赤い何かがいます。隊長ははっとして振り返りました。そこには赤いマントをかぶった7歳くらいの女の子が立ってました。頭にはマントと一体になったフードがあります。そのフードを目深に被ってるせいか、顔は見えません。隊長は焦りました。
「あ、赤い女の子?・・・」
女の子が応えました。
「あなたは殺し過ぎました」
「な、なんでだ!? オレはまだ50人も殺してねーよ!」
女の子は弓に矢をつがい、構えました。焦る隊長。
「ああ・・・」
隊長は思わず叫びました。
「やめろーっ!」
その瞬間女の子が矢を放ちました。その矢が隊長の耳をかすめ、すぐ後ろの壁に刺さりました。材質的には矢が刺さるような壁ではないのですが、なぜかぐさっと刺さったのです。さすがの隊長も、恐怖で顔がひきつってます。
「ひー・・・」




