橋本隊員奪還作戦 10
が、初老の男は慌てて叫びました。
「バカモノーっ! 飛行機の中で拳銃を撃つやつがどこにいるかーっ!」
手下たちは一瞬にしてフリーズ。
「えっ!?」
てっきり銃弾の雨あられを浴びると思っていた女神隊員も、その言葉にちょっと拍子抜けになりました。初老の男は怒声を続けます。
「ここは高度1万メートルだぞ! 外は気圧がとても低くなってるんだ! もし1発でも銃弾が飛行機を貫通したら、飛行機の中の気圧が一気に外に逃げて、開いた穴があっという間に巨大化して、飛行機は墜落してしまうんだぞ!」
そうです。飛行機内では絶対発砲禁止なのです。隊長もこのことは知ってました。そこまで計算に入れてこの無茶な作戦を決行したのです。
手下たちはこの話を聞いて、顔を見合わせました。みんな、呆気に取られてます。女神隊員も唖然としてました。
初老の男は女神隊員を見て、
「あなた、今世間で騒がれてるヘルメットレディさんですか? こんなところに単身乗り込んでくるとは、いい度胸ですねぇ。
みんな、取り押さえなさい!」
手下たちが「うぉーっ!」という唸り声とともに、女神隊員に一斉に襲いかかりました。
「くっ!」
女神隊員は右手の指を拳銃の形にして、光弾を撃ちました。1発だけではあのません。高速連射です。この光弾に突進してくる手下たちが次々と倒されていきます。いきなり切羽詰まった女神隊員に、さっきの初老の男の叱責など意味はありません。ともかく今は、この土壇場を乗り切らないと!
この光景を見て、初老の男は焦りました。
「な、なんだ、これは!? 指弾か!?」
今度は巨大な男が女神隊員に立ち向かいました。
「今度はオレの番だーっ!」
女神隊員は指の光弾を2発発射。2発とも巨大な男の身体に命中します。が、巨大な男はいっさい怯むことなく突進してきます。女神隊員は焦りました。
「ええっ、効かない?・・・」
女神隊員の指の光弾は38スペシャルの弾丸の威力の半分もありません。この巨大な男を倒すほどの力がないのです。
巨大な男は両手で1つの拳を作って、女神隊員の頭上に振り上げました。
「うぉーっ!」
女神隊員はその拳を寸前で避けます。そのまま柔道の受け身のように身体を回転させ、スタっと立ち上がり、巨大な男を見上げました。
「ぐあっはっはーっ! ぶっ殺してやるわーっ!」
巨大な男は再び女神隊員に向かって突進してきました。
「くっ・・・」
女神隊員は眼の前に右手を突き出しました。するとその右手に細長い光る物質が現れ、次の瞬間1mくらいの剣となりました。女神隊員は剣の柄を両手で持ち、腰のあたりで構えました。
「死ねーっ!」
巨大な男がこん棒のような腕に体重を乗せストレートパンチ。女神隊員はそのパンチを寸前で交わしました。次の瞬間、今度は巨大な男の顔が苦痛でゆがみました。
「うぐっ・・・」
「うぐっ・・・」
巨大な男の腹に女神隊員の剣が刺さったのです。しかし、ぶ厚い皮下脂肪が邪魔したようで、傷は浅いようです。女神隊員は悔しがってます。
「ち、浅いか・・・」
巨大な男は刺さった剣を手で引き抜きました。
「ぐぉーっ! なんだ、こんなもん!」
巨大な男は剣を投げ棄てると、女神隊員をにらみつけました。
「いってーじゃねーか、このやろーっ!」




