女神の一番長い日 2
ここはテレストリアルガード基地。長~い滑走路が見えます。建物ですが、これと言った特徴のない3階建てのビルが1つ。その他レーダー施設、複数の格納庫らしき建物がぼんやりと見えます。殺風景な基地。実はこの基地の大半の施設は、地下にあるのです。
滑走路と平行に片側1車線の街道が走ってます。その間には2m以上の金網のフェンスが続いてます。いかにも基地といった感じ。基地と街道は広大な針葉樹林に囲まれてました。
今は真夜中。基地はシーンと静まり返ってます。地下部分も同じ。が、それを破壊するように、けたたましくアラームが鳴り響きました。
「緊急! 緊急! スペースステーションJ1より入電! スペースヘロン号が未確認飛行物体1機と交戦。未確認飛行物体はコントロールを失い、現在地球に落下中!」
ここはテレストリアルガード作戦部門の隊員に割り当てられた私室の1つ。6畳間よりちょっと大きい部屋。ベッドには誰かが寝てます。この緊急放送を聞いてその誰かがふっと眼を開けました。
この男性の名は香川洋和。テレストリアルガード作戦部門の隊長です。
「ふっ、やっと来たか」
とつぶやくと、隊長はさっとベッドから下りました。すると隊長が着てる服が露わになりました。空軍て感じの青のつなぎ。これはテレストリアルガード作戦部門の隊員服です。なんと隊長は、テレストリアルガードの隊員服を着たまま寝てたのです。
ここはサブオペレーションルームの奥に設置されたオペレーションルーム。巨大なモニターやコンソールが処狭しと設置されており、その前に座ってる女性隊員がヘッドホンで通信を聴いてます。
今サブオペレーションルームの引き分けの自動ドアが開き、隊長が入ってきました。隊長が女性隊員に質問。
「今どういう状況だ?」
女性隊員は隊長に振り返り、
「未確認飛行物体が地球に落下中です。もう少しで大気圏に突入します。現状だと日本に墜ちてくる可能性が高いです。迎撃ミサイルで撃ち落としますか?」
「いや、核融合弾は積んでないようだ。その必要はないだろ」
その返答に女性隊員は疑問が浮かび、心の中でこうつぶやきました。
「隊長、なんで核融合弾を積んでないとわかるの?・・・」
再び引き分けの自動ドアが開き、3人の男性隊員が入ってきました。3人ともテレストリアルガードの隊員服を着てます。
「隊長!」
隊長は3人の隊員を見て、
「未確認飛行物体が日本に墜ちてくるようだ。全員、出動だ!」
「了解!」
遠くの空が赤くなってきました。未明から夜明けに移る時間です。明るくなってきたせいか、テレストリアルガード基地の建物が詳しく見えてきました。滑走路の脇には3つのかまぼこ型の巨大格納庫が並んでました。
今1つの格納庫の引き分けの扉が開き、巨大な軍用機が出てきました。さらに隣の格納庫からは、別の軍用機が現れました。F-35戦闘機を一廻り大きくしたような機体です。
巨大な軍用機はストーク号、戦闘機型の軍用機はヘロン号と呼ばれてるテレストリアルガード専用の機体です。もちろんたくさんのオーバーテクノロジーが搭載されてます。
ストーク号のコックピットは横に2座席。今その1つに香川隊長が、もう1つには一般の隊員が座ってます。2人ともヘルメットをしてますが、ヘッドアップディスプレイやマスクはありません。