女神の一番長い日 17
3連の巨大なシャッターの真ん中のシャッターが開き始めました。2台はサイレンと同時にパトロールランプを点灯させ、発進しました。
公道を走るセダンの中、運転席には隊長、助手席には海老名隊員、後部座席には女神が座ってます。女神の質問です。
「すみません。宇宙人の残党てなんですか?」
隊長はハンドルを握りながら応えました。
「5年前この星はユミル星人に総攻撃を喰らったことがあったんだ」
「ええ、それは先ほど聞きました」
「実はそのとき、我が国はヴィーヴルという軍隊と密かに交渉してたんだ。ヴィーヴルというのは、宇宙の傭兵組織みたいなもんだな。
ユミル星人第二次襲来で我が国は急きょヴィーヴルと契約し、彼らは地球にやってきたんだ。
ヴィーヴルの軍事技術はユミル星人のそれをはるかに凌駕していて、ユミル星人は蜘蛛の子を散らすように逃げて行ったんだ。そのせいか、ユミル星人の兵隊が地球にたくさん取り残されてしまった。
そいつらを見つけて逮捕する、または処分することをテレストリアルガードでは宇宙人の残党狩りと言ってるんだよ」
「5年も経ってるのに、まだ残党がいるんですか?」
「ユミル星人が攻めてきたと言っても、実際攻めてきた連中はユミル星人の植民地となった星の住民ばかりだったんだ。
ご丁寧にこの地球の住民と姿形が酷似した人種ばかり選んできんだよ、ユミル星人は。万が一があった場合は、地球人に化けてやりすごすつもりだったんだろうな。
ま、実際その通りになった。そのせいで、いまだに宇宙人の残党がいるんだよ」
女神は考えてしまいました。自分はあまりにもこの星の住民と顔が違うからです。
ここで海老名隊員が発言。
「あの~ 宇宙人さん、お願いです。ヘルメット脱いでもらえませんか?」
隊長は呆れ顔。
「おいおい、この星の空気に彼女をさらしたら、最初に襲来したユミル星人みたいにあっとゆー間に病気になって死んじゃうかもしれないぞ。それに彼女がもってるばい菌だって、地球人にどんな病気をもたらすのかわからないし・・・」
「ちぇっ・・・
でも、報告書読んだら、一度顔を晒したことになってますよ!」
「それは山奥での話。町でやっちゃだめだろ。もしどうしても見たいのなら、今彼女が住んでいる無菌室でやれ!」
「はーい!」
で、女神ですが、フルフェイスのヘルメットが邪魔で、どんな表情でこの会話を聞いてるのか、てんでわかりませんでした。
今度は後ろを走る4WDの車内です。運転手は寒川隊員、助手席には倉見隊員が座ってます。倉見隊員は寒川隊員に質問しました。
「お前、あの女、どう思う?」
「あの女って・・・ 女神さんのことですか? まあ、巨大化するし、光線技も使えるし、すごいじゃないですか」
「オレは嫌だな。あいつなら、橋本さんの方が1万番マシだ。
考えてもみろよ、あいつは宇宙人だぜ。宇宙人は侵略者だ。そんなやつ、テレストリアルガードに入れていいのかよ!?」
「彼女は母星を侵略されて、仕方なくこの星に逃げてきたんですよ。侵略者する意志なんてあるはずがないですよ」
「ふん、それがどうした! 宇宙人は宇宙人だろ!」
倉見隊員は突然激昂しました。その大声に寒川隊員はびっくりして、肩を縮めました。倉見隊員は寒川隊員より年齢が下ですが、テレストリアルガードには先に入隊してました。つまりテレストリアルガード内では、倉見隊員の方が先輩なのです。




