女神の一番長い日 15
女神はドカッとベッドに腰かけました。そして両手で挟むようにヘルメットに手を掛けました。そのままヘルメットを上げると、彼女の顔があらわになりました。
巨大な一つの眼、鼻はなく、大きな口。地球人からみたら不気味で気持ちが悪い顔です。でも、首から下は標準的な地球人の女性でした。
髪はかなり長かったのですが、ヘロン号に散切りにされてしまったせいか、今はショートボブに切り揃えてあります。身長は175cmと、日本人の標準的な女性と比べたらかなり高いようです。身体はかなりスレンダーですが、胸は意外と膨れています。
女神は下を向いてふーっとため息をつきました。
「5000もの同胞を殺され、自分も殺される寸前まで追い込まれたというのに、今はやつらに恭順してる。どうして? どうしてなの?・・・
でも、もしあのときテレストリアルガード入隊を拒否してたら、私はどんなひどい目に遭ってたことか・・・ 巨大化して反抗したところで、あのストーク号とヘロン号には勝てる見込みはないし・・・」
女神はここで隊長を思い浮かべました。
「あの人は私を警察から守ってくれた。今は彼を信じるしかないのか?」
女神は今度は橋本隊員を思い出しました。
「で、でも、あの橋本て男がテレストリアルガード辞めてなかったら、きっと私は別の手段を選んでいたと思う。あの男は明らかに私に敵意があった。あいつがいなくなって、ほんとうに助かった・・・」
女神はさらに倉見隊員を思い出しました。
「いや、まだあの男がいたなあ。あの男も私に敵意があった。隙を見て攻撃してくるかも? ああ、ここも安住の地じゃないのか?・・・」
女神は再びため息をつきました。
ここはサブオペレーションルーム。今引き分けの自動ドアが開き、身長140cm未満の隊員服を着たおかっぱ頭の女の子が入ってきました。彼女が海老名隊員です。
「ただいま帰りました!」
隊長はテレビでアニメを見てましたが、海老名隊員を見て柔和な顔を見せました。
「お帰り!」
なお、隊長と海老名隊員以外、今サブオペレーションルームには誰もいません。
海老名隊員はイスに座るなり、
「隊長、宇宙人、来ましたか?」
「ああ、来たよ!」
海老名隊員は興味が湧いたようです。顔色がぱっと明るくなりました。
「どんな宇宙人ですか?」
隊長は左手の親指と人差し指で○を造り、それを自分の眉間に置いて、
「眼が一つ」
「ええ?」
「君の予言通り巨大化するし、光線技は使えるし」
「うわっ、すっごーい!」
「ほんとうにすごい人材をゲットしたかもしれないな。ふふ、さっそく試してみるか!」
隊長は立ち上がると、隣室のオペレーションルームに入り、コンピューターの前に座りました。海老名隊員もその横に座りました。
なお、サブオペレーションルームとオペレーションルームの間の引き分けの自動ドアは香川隊長の方針で常時開けっ放しとなってるので、実質1つの部屋です。
隊長はキーボードをタンタンタンと指で叩きました。
「シークレットコードを入れてと・・・」
隊長はコンピューターとコードでつながった小さな機械を海老名隊員の前に置きました。
「指紋頼む」
どうやら指紋認証システムのようです。
「了解!」
海老名隊員はその機械に左手薬指の腹を置きました。するとピッと音がし、コンピューターのディスプレイに表が現れました。どうやら人名リストのようです。隊長は表をスクロール。表は下へ下へとずーっと続いてました。
「さーて、どれにするか・・・」
海老名隊員もディスプレイを見てます。と、何かに気づきました。慌てて、
「止めて!」
隊長ははっとしてスクロールを止めました。海老名隊員は表の中にある、あるリストを指差し、
「この人、何かありそう。この人にしましょうよ!」
「ふふ、そっか?」
隊長はそのリストの上にマウスポインターを移動させ、クリック。すると男性の顔の写真が1つ現れました。遠くから防衛レンズで撮影したスナップショットのようです。
隊長は海老名隊員を見て、質問。
「この男、何があるんだ?」
「さあ?」
なんともすっとぼけた返答。けど、隊長は不快な顔を微塵も見せずに、逆にニヤッと笑って、
「ふふ、お前がそう言うからには、きっと何かあるんだな。よし!」




