女神の一番長い日 10
なお、テレストリアルガードの隊員は、レーザーガンの所持は非常時以外認められてません。今回も隊長の判断で全員レーザーガンを所持してませんでした。
が、ベテランの隊員と若手の隊員はその判断に疑問がありました。そこで2人は事前に打ち合わせをしました。相手は宇宙人、何か奥の手があるかもしれないぞ。で、こっそりレーザーガンを所持してたのです。
隊長は呼吸を整え、宇宙人に優しく話しかけました。
「8年前と5年前、この星はユミル星人と呼ばれる宇宙人に猛攻撃を喰らったことがあったんだ。それでたくさんの人が死んだ。ここにいる4人は、そのとき天涯孤独になった者から選抜されたんだ。だから宇宙人に対しては、あまりいい印象がないんだ。
我々テレストリアルガードは宇宙からやって来る侵略者に耐えず眼を光らせてる。そのための宇宙基地もある。そこに君が乗った宇宙船が通りかかった。たぶんまた侵略者が来たんだと判断して、無警告で攻撃してしまったんだと思う。悪気はなかった。わかって欲しい!」
それを聞いて一つ眼の宇宙人は黙り込んでしまいました。ここで隊長の左手首に巻き付いているバンテージのような装置が突然振動を始めました。
「ん?」
隊長はスマホを手にすると、それを口に持っていきました。
「なんだ?」
すると、スマホの向こうから、
「隊長、警察の人が来ました! 公安7課のようです!」
それは通信員の女性隊員の声です。隊長はスマホに、
「えっ、宇宙人の身柄をよこせってか!? ちっ・・・ ちょっとそこに待たせておけ!」
「それが・・・ もうそっちに向かってます」
「何!?」
突然ドアがバーンと開き、3人の黒スーツ姿の男が現れました。
「お邪魔しますよ!」
今発言した真ん中の人は、地位が高い人のようです。両側の人は、彼のボディガードて感じ。
隊長は心の中で「ちっ!」と舌打ちをし、真ん中の人物をにらみました。
「ふ、あんたか」
どうやら彼は隊長の知ってる人物のようです。その人物も隊長に、
「お久しぶりですなぁ、香川隊長」
と応答。隊長は言い返します。
「悪いな、こっちはまだ取り調べ中なんだ。だいたい宇宙人が来襲してきたら、第一に防衛する組織は、我々テレストリアルガード作戦部門じゃないのか? あなたたちがしゃしゃり出てくる隙はないはずだが?」
「おやおや、何を言うかと思えば・・・
確かに宇宙人の侵略行為があった場合は、まずはあなたたちテレストリアルガードの出番ですが、身柄を拘束した宇宙人をどの組織がどのように扱えばいいのか、特に規定は設けてはないはずですが?」
「てことは、うちらがこのまま宇宙人を取り調べしても、な~んの問題ないってことだな?」
「ふふ、ご冗談を。こんな倉庫代わりの部屋で何を取り調べするんですか?」
警察の偉い人は、両側にいた2人にあごで指図しました。
「おい!」
「はっ!」
2人の男は宇宙人を挟むようにして、その両腕を掴みました。この瞬間宇宙人の身体に激しい嫌悪感が走りました。巨大化して逃げる。反射的にそんな手段が頭をよぎりました。
でも、巨大化してもテレストリアルガードに勝つ見込みはありません。痛い目に遭うのはもうまっぴら御免です。
じゃ、どうする? 今私の目の前にいる隊長と呼ばれている男。この男は自分を庇ってるように見える。今は彼を信じてみることにしようか?・・・




