0005話:「名も無き山のダンジョン地下3F。毒を持ったやっかいな魔物を倒すためにスキルを購入する」
「ううむ、投石だと効果が薄いか」
投石で洞窟コウモリを倒した俺たちは地下3Fにやってきたがそこにいたのは名前も見た目も厄介そうな魔物「毒ナメクジ」の姿だった。表面が紫色でいかにも毒って感じで剣で切りつけたら飛び散った体液で毒になりそうだし粘液で覆われた軟体質な身体はポニスが投石しても粘液ですべり、柔らかいボディに衝撃を吸収され何度か投げつけてようやく一体を倒すことが出来た。
「ちょっと腰を据えて倒し方を考えるか……完全鑑定」
俺は後ろの方にいるもう一匹の毒ナメクジに完全鑑定を行う、何か弱点がわかればいいが。
名前:-
種族:毒ナメクジ(※迷宮モンスター)
職業:-
年齢:30日
性別:-(※迷宮モンスターに付き無し)
LV:03/10
LP:20/20
MP:3/3
SP:15/15
EXP(※神力):10/30
攻撃数値:08
防御数値:20
速度数値:05
技術数値:05
幸運数値:03
抵抗数値:20
魔攻数値:03
魔防数値:04
精神数値:02
パッシブスキル
迷宮モンスター:LV1
邪神の眷属:LV1
軟体特性:LV1
保護粘液:LV1
毒体質:LV1
アクティブスキル
毒粘液分泌:LV1
ドロップアイテム
毒ナメクジの魔石(※ドロップ率10%)
毒消し草(※ドロップ率10%)
銅貨(※ドロップ率10%)
※迷宮モンスター:LV1は神力に+10%の補正をもって生まれる。このスキルを持つ者は死亡時に肉体と装備が消滅し魔石やアイテムに変換される事がある(体内に取り込んだ毒等は一部消滅しない)。迷宮の別の階層や外には移動できないが迷宮内で一定の個体数に到達すると移動が可能になる。性別がなく繁殖できないが迷宮外に長くいるとこのスキルは野生モンスターに変化して繁殖可能な性別になる。
※邪神の眷属:LV1は全ステータスに+10%の補正をもって生まれる。このスキルを持つ者同士はお互いに争わず、このスキルを持たない生物とその住居を本能的に襲うようになる。
※軟体特性:LV1は衝撃に対して+10の防御数値を得る。凍結状態になるとこの効果は失われる。
※保護粘液:LV1は斬撃に対して+10の防御数値を得る。攻撃を一度受けるとMPを1消費する。
※毒体質:LV1はLPに対して数秒ごとの効果周期に固定値3+相手のHP1%の毒ダメージを与える。相手の抵抗数値が高ければ効果周期と持続時間は現象。このスキルを持つ者は肉体や体液の一部がLV1の毒を持つようになる。
※毒粘液分泌:LV1はMPを3消費してLV1の毒の粘液を分泌する。
毒ナメクジの概要
軟体特性、保護粘液、毒体質三つのパッシブスキルによって駆け出しの冒険者が討伐に躓くモンスターの代表。もっとも効果的なのは氷属性の魔法で粘液ごと凍らせるか体内の水分ごと火属性魔法で焼き殺す事。武器で戦う場合は弓矢か槍で刺し殺すのが効果的、尚その場合油を塗っておくと粘液を弾いて引き抜きやすくetc……。
な、長い……完全鑑定の名は伊達では無いようだが概要はまだ続いて初めて毒ナメクジが発見された年月日がどうたらと、どうでもいい情報が続いている。ステータスウインドウの完全鑑定をタップしてい既読済みのスキル情報は表示しないや、概要は討伐に関するモノと素材やドロップアイテムの価値、活用方法、必読すべき危険情報のチェックだけ入れる。ステータス欄も年齢や職業は人型の魔物以外は無意味そうだから種族以外は非表示にして知能の高い人型の魔物の場合表示するチェックを入れる。
「火か氷の魔法か槍とかが良いらしいが今の神力だと万物売買に表示されないんだよなあ」
今の保有神力は44、槍や弓は現金もあるため安物が表示されているが魔法スキルは表示されない。
「神力が足りないなら借金を組めば良いわよ、今の神力の最大10倍の神力が手に入るわよ。手数料かかるけど」
マリューの説明を聞いて万物売買のウインドウにあるオプションを開くと神力貸し付けの欄があり、試しに「現在の保有神力の最大10倍の神力貸し付け(手数料100%)」をタップすると俺の保有神力44に440が加算されて仮保有神力が484になった、このまま何か購入すると貸し付けが決定するらしい。貸し付け神力は880の表示があって取得した神力が自動的に返済されるようだが毒ナメクジ88匹も倒さないとその間はレベルが上がらないのは厳しい。
「神力100でLV1の火属性魔法が購入できるからこれにするか」
完全鑑定を使って火属性魔法LV1の性能を確かめる
※火属性魔法:LV1はMPと魔攻数値があれば、四つの火属性魔法が使えるようになる。
├発火:LV1MAX
├フレイムバーナー:LV1
├ファイヤーボール:LV1
└レッドアロー:LV1
※発火:MPを1消費して指先から小石ほどの火を10センチほどゆっくり飛ばして火をつける生活魔法
※フレイムバーナー:LV1はMP3を消費して手や装備した武器の先から長さ1メートル程度の火柱を浴びせかける大威力低消費の近距離火属性魔法、熟練者は口からも放つことが出来る。
※ファイヤーボール:LV1はMP5を消費して手や装備した武器の先から握り拳ほどの魔法の油球で出来た火の玉を放つ中威力中消費の中距離火属性魔法。
レッドアロー:LV1はMP7を消費して手や装備した武器の先、番えた弓から鏃に火の魔力が込められた魔法の矢を生み出して射出、生成する。ファイヤーボールより早い射出速度は弓から放つ場合さらに速いが、矢の先と速度に魔力が集中しているため普通の矢とさほど変わらない威力で、火としてはファイヤーボールより弱い。熱を持つのは鏃にだけなので射出せずに生成した場合は他人も使えるが時間と友に魔力が抜けて最後に消失する低威力高消費の遠距離火属性魔法。
それぞれ威力と射程が違う複数の魔法を内包して使い勝手が良さそうなので俺は神力56を借りてちょうど100にして火属性魔法LV1を購入した、借金が56と端数切り上げの手数料20%が12で68の借金だ。神力45から手数料20%、89から30%だったので保有神力が多ければ手数料が10%に抑えられそうだがなるべく借金しないほうがいいな。
「ファイヤーボール、ファイヤーボール、ファイヤーボール、ファイヤーボール」
早速覚えた魔法を使う、時間は停止しているがフレイムバーナーで毒ナメクジには近づきたくないし、レッドアローの熱量では一撃で焼き殺せなかったのでファイヤーボールを人差し指、握りこぶし、開いた手の平、ロングソードの剣先からと発動方法を変えて射出する。
「ファイヤァァァボール、ファイヤァァァボール」
さらに右半身を引きながら詠唱を開始して握り拳を突き出しながら詠唱を終えてパンチと同時に射出したり、野球のピッチャーみたいに手の平で作ったファイヤーボールを投げつけたときは投石スキルが作用したのか威力と射出速度と射程距離が一段強くなった……もっとも大振りな投球フォームは発動に若干の隙がある、一番命中力が高いのは剣先で狙いを付けたときだが、腕を上げるのが若干だるい。何度か試した結果、拳銃を握ったような握り拳を作って射出と同時に肘を上げる動作がしっくりきた。魔法の杖を買えば良いような気もするが素手でもやっていけるなら慌てて安物を買う必要もないだろう。
「ボスを目前にしてちょっとはしゃぎすぎじゃない?」
呆れた顔のマリューに言われてふと我に返ると俺は大きな扉の前にいた、どうやらこの先にこの迷宮のボスがいるらしいが魔法を覚えた俺は道中の魔物にひたすらファイヤーボールを打ち込んでここまで来たらしい、ステータスを見ると貸し付けられた神力をすべて返済していつの間にかLVが2も上がっていた。
「ダイガ様、ポニス、持てない」
「ポニスも済まないな」
俺がドンドン倒してしまうからポニスは魔石と毒消し草、それに銅貨を両腕に抱えていた。時空制御の空間収納で回収して万物売買で拾った銅貨で回復のポーションとスタミナのポーションを購入してボスを前に俺はステータスを確認した。SP……スタミナポイントの事だったんだよなあ、マリューに急かされて調べなかったけどポーション飲んだらテンションが落ち着いて反動のようにのしかかっていた疲労が綺麗になくなった
────ステータスウインドウ(※は通常の鑑定では視認不可)────
名前:ダイガ・ユウドウ
種族:ヒューマン(※地球人)
職業:旅人
年齢:28(※肉体年齢18)
性別:男
LV:05/99 [+2]
LP:54/54 [+8]
MP:∞/20 [+4]
SP:50/50 [+10]
EXP(※神力):132/150 [-68+200]
攻撃数値:41(31+10) [+8]
防御数値:37(27+10) [+6]
速度数値:27(32-05) [+6]
技術数値:23 [+04]
幸運数値:05 [+02]
抵抗数値:32 [+06]
魔攻数値:11 [+04]
魔防数値:9 [+04]
精神数値:9 [+04]
新スキル
火属性魔法LV1(パッシブスキル)
発火:LV1MAX
フレイムバーナー:LV1(アクティブスキル)
ファイヤーボール:LV1(アクティブスキル)
レッドアロー:LV1(アクティブスキル)
新アイテム
毒ナメクジの魔石:3個
毒消し草:2個
銅貨:3個