表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
84/96

84 ニセモノの館2


「お前、いつからここにいた?」

 ふいに思い付いたように、男の一人が声を上げた。血相が変わる。

「お前、俺らの話を聞いたのか?」


 話って王宮とか国王とか言ってたやつのことだろうか。血相が変わるってことは、聞いては不味かったんだな。

「話って、何のことですか」と、知らないふりをしてみる。

「やっぱり聞いてたんだな!」

「知りません。それより、ちょっと、離してください。僕は名乗ったではありませんか。ニーナに会わせてください。」

 僕は相手を見据える。相手の顔つきが変わった。怒ったみたいだ。


「おい、ガンツ、こいつは俺らの計画を聞いてたみたいだ。生かしちゃおけねえぜ。」

 男は僕の後ろの大男に向かって声を荒げる。

 ちょっと意味がわからない。生かしちゃおけないって、何?


「計画って、お前ら飲みながら、外で話してたのか」

「い、いや、ちょっと、旨そうな肉がてに入ったから、前祝いと思って…」

「てめぇらはバカかっ」

 地響きがしそうな声で東葛されて、僕を囲む男たちが縮み上がった。

 僕もビックリして、男をポカンと見上げる。


「すみません、ガンツ、でも、誰かが来るなんて思わねぇじゃないですか!」

「お頭には報告しておく」

 低い声で大男が言うと、男たちが泣きそうな顔になる。

「そのガキ始末しちまえは、分かりませんて。この辺に埋めてしまいましょう」


 非常に身の危険を感じる。

 どうやって逃げよう。キョロキョロと見回す。

 と、僕の襟がぐっと引かれた。僕はよろけそうになり、背中が大男にぶつかる。


「ダメだ。今思い出したが、アレクシスとは、お嬢がお世話になった公爵家の子どもだ。手を出したことがお嬢に知れたら、殺されるぞ、お前」

 ひっと言う声を出して、さっきから僕を睨んでいた男が、僕を恐ろしいもののように見る。

 ピンチなのは僕のほうだ。 


「そのガキ、どうしましょう、ガンツ」

「そうだな、もうすぐリヒトが帰ってくる。お嬢も一緒だ。ひとまず、このガキは小屋に隠しておくか。どうせ明日の夜が過ぎれば俺らもここから消える。このガキも運が良ければ誰かに見つけてもらえて、死なさずにすむだろう、そしたらお嬢にも恨まれねぇし。」

「そうですね、それがいい」

 男たちは急にご機嫌になった。


「ひとまず縛っておきますか、縄を持ってきます」

 男が一人、駆け出していった。小屋の方へ向かう。

 僕は、周りの視線が、走り出した男に移った瞬間に、僕の後ろにいる大男の足を踏みつけ、上着を脱いだ。

 掴まれていた襟が外れる。身を低くして、地面を蹴って駆け出す。


「おいっ」

 男の声が背中から聞こえた。

 必死に走る。

 でも、すぐにまた、服の背中を掴まれた。僕は、自分の足の遅さを呪った。


「こら、ガキ、暴れるな」

 僕の背中を捉えた男は、僕の腕を掴んで高く持ち上げる。うでが締め付けられて、痛い。

「離してくださいっ」

 力一杯の抵抗を試みるが、体が持ち上げられて行き、足がつかなくなった。悔しい。


「たっだいまぁ」

 突然、明るい声聞こえた。ニーナの声だ。

「ニーナ!」

 僕は叫んだ。

 がしゃん、と何かが割れる音がした。

 走る足音が聴こえて、僕を持ち上げている男が、動いたため、僕はニーナがこちらに走ってくるのが見えた。

 ニーナと目が合う。


「あ、アレク…」

 ニーナが、僕を見て絶句した。愕然と目を見開いている。

 そして、ニーナは、ゆっくり下を向いた。

 

 腕を掴まれて持ち上げられているから、今の僕はカッコ悪いよね、1週間ぶりに会うのに…。

 でも、ニーナと知り合いだと確認できたのだから、早く腕を離してほしい。痛いし。


「おーまーえー、アレクに何をしている…」

 ニーナが、下を向きながら、ふるふる震えている。ニーナらしくない、低い声だ。


 ニーナの低い声に驚いたのか、「ひっ」と声がして、男が僕の腕を離した。

 ドサッと僕は地面に落ちて尻餅をつく。助かった。


「ふざけるなっ」

 ニーナのどすの聞いた声が響いたかと思った瞬間に、ごおっと風が吹いて、さっき僕を掴んでいた男が、吹っ飛ばされた。男は木に背中から叩きつけられる。


「お前らも、アレクに何かしたのか」

 人を見下すような口調で、僕を囲んでいた男たちを見据える。

 いつものニーナの声じゃない。ニーナは、目が座っていた。


「どうなんだ、言ってみろっ」

 ニーナが手を振った。

 ごおっと音がして、男たちの後ろにあった小屋が、バキバキバキッとすごい音をたてて、半分、吹き飛んだ。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ