表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
45/96

45 湖畔にて5


 クレマンに案内されて応接室に行くと、10人以上の人がいた。

 ソファには、父さんに面して2人が座っていて、他の人たちは立ったままだ。

「二人ともこちらに来なさい」


 立ち上がった父さんに呼ばれ、父さんの横に並ぶ。

 ソファの2人も立ち上がった。

「こちらが、息子のアレクシスと、ルナール家からお預かりしているニーナです」


「アレクシス・ド・ロートレックです」

「ニーナ・ルナールでございます」

 頭を下げてから、相手を見る。

「げっ」

 ニーナが、レディらしからぬ声を出した。


 そこには、数時間前に溺れていた、アンリ王子とルノー王子がいた。

 さっきはずぶ濡れだったが、衣装が改まると別人のよう。

 2人とも整った顔立ちをしていて、気品に溢れている。


「アンリです。本日は危ないところを、弟共々助けていただきありがとうございました。先程はお礼も言えず、失礼いたしました。まさか、ロートレック公爵家のご子息と、ルナール家のご令嬢だったとは知らず、また、冷たい湖へ飛び込んで助けていただいたのに、濡れたままお返ししてしまったようで、大変な非礼をしてしまいました。お陰様で、体も無事でしたので、取り急ぎ、お礼に参りました」


「ルノーです。お二人に助けていただかなければ命の危ないところでした。本当に感謝しています」

 2人が順に挨拶した。


 アンリ王子は、金髪で、僕より背が高い。鼻筋が通っていて切れ長の目。穏やかそうな表情だ。

 一方のルノー王子は、やや暗い金髪ダークブロンドで、ニーナとそれほど身長が変わらない、まだ幼い印象を受ける。こちらは目がぱっちりとしていて、負けん気の強そうな顔立ちをしている。


 ニーナは令嬢モードの控えめな笑顔で、それぞれが挨拶するたびに軽く膝をおった。

 みんなで座って話すことになり、ニーナの笑顔が曇る。

 きっとシャルロットとシャーベットが心配なんだろう。


 2人は、僕たちに何かお礼がしたいと言い出した。


「あなた方は命の恩人なのです。どんな望みもおっしゃってください。…しかし、ニーナ、先程と違って、大人しい様子ですが、どこかご不調でも?」

「…いえ、…ご心配にはおよびません。」

 ニーナが小声で答えると、アンリが不思議そう首をかしげた。

 確かに。先程、溺れている二人を助けたニーナと、今の令嬢モードのニーナでは、知らない人から見ると別人だもんな。


 ルノーも言う。

「僕は、ニーナに、『王子ならもっとしっかりしろよ』と言ってもらって、意識を改めたいなと思ったんです。そうやって、はっきり言ってもらうことがあまり無いから、驚いたけれど、…本当に反省しているんです。」


 父さんが、驚いた表情でニーナを見た。

 ニーナが、固まる。その緊張は、僕にも伝染する。

「…王子様、わたくし、そのようなことは申し上げておりませんわ。聞き間違いではございませんか?」

 控えめな小さな声で、微笑む。


「いえ、僕も聞きました。」

 アンリが声を上げる。

「いえ、聞き間違いです。」

 ニーナの口調が強くなる。


「いえ、確かにニーナはおっしゃいました。今こうしてお会いするとこんな華奢でお美しいご令嬢ですが、あのときは、お互い、ずぶ濡れのまま、弟を『この馬鹿、死ぬ気か』」と頭を小突いて叱りつけていただき、勇ましい、そう、戦いの女神の降臨かと思い、見惚れていました。」

「なんのことでしょう?」

 ニーナが笑顔を張り付かせる。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ