42 湖畔にて2
ニーナは素早く水を掻き、ぐんぐんと泳いでいく。
少年達がボートから落ちたところに、あっという間に近づく。
そして、一度体を起こすと、勢いよく水底へと潜って行った。
僕は、ニーナが泳いで行った方へボートを漕ぐ。
ニーナを助けなきゃと思うのだが、慌ててしまって上手く漕げない。
ニーナが水面に上がってきた。片手で人を抱え、片手で水を掻いている。
「ニーナ!」
僕は声を張り上げる。
ニーナは、僕の方を見て、人を抱えていない方の手を挙げると、その手を頭の上で振った。
ざぁっという音が後ろから聞こえた。振り向くと、水面を風が迫ってきている。すごい風だ。
「うわっ」
僕は吹き飛ばされないように身構えた。
ところが、風はボートのみを押して、ボートは水面を滑りはじめた。
僕の乗ったボートは、ニーナのところまで風に運ばれた。
すごい、奇跡だ! 風に助けられた!
…風に?…助けられた…? 花火の時みたいに…?
「アレク!」
ニーナの声にハッとする。
僕はニーナに手を伸ばし、ニーナを引き寄せる。
ニーナは、少年を押し上げ、僕がボートに引き上げた。
少年はぐったりしている。年齢はニーナと同じくらいだろう、小柄な少年だ。
少年の体がボートに乗ったことを確かめると、ニーナはもう一度水底へ沈み、すぐにもう一人の金髪の少年を抱えあげてきた。
もう一度、ニーナを引き寄せ、少年を引き上げる。こちらは意識があった。
後から助けられた金髪の少年は、ボートに上がったとたん、ゴホゴホと咳き込みはじめた。
ニーナは、僕が二人目を引き上げているうちに、自力で上ってきていた。
「状況は?」
ボートに上がってすぐに、ニーナは、先に水に落ちた小柄な少年に駆け寄る。
その少年は、まだ、ぐったりとして動かない。
「アレクは、そっちをお願い」
僕はうなずき、金髪の少年に「大丈夫ですか」と声をかけながら、咳き込んでいる背中をさする。
ニーナは、ぐったりと意識のない小柄な少年の肩をたたきながら、大きな声で呼び掛けた。
「おい、しっかりしろ、おいっ」
すると少年は、ごぼごぼっと水を吐き出し、その後、咳き込みはじめた。
よかった、生きてる。




