表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
42/96

42 湖畔にて2

 

 ニーナは素早く水を掻き、ぐんぐんと泳いでいく。

 少年達がボートから落ちたところに、あっという間に近づく。


 そして、一度体を起こすと、勢いよく水底へと潜って行った。


 僕は、ニーナが泳いで行った方へボートを漕ぐ。

 ニーナを助けなきゃと思うのだが、慌ててしまって上手く漕げない。


 ニーナが水面に上がってきた。片手で人を抱え、片手で水を掻いている。

「ニーナ!」

 僕は声を張り上げる。


 ニーナは、僕の方を見て、人を抱えていない方の手を挙げると、その手を頭の上で振った。


 ざぁっという音が後ろから聞こえた。振り向くと、水面を風が迫ってきている。すごい風だ。

「うわっ」

 僕は吹き飛ばされないように身構えた。

 ところが、風はボートのみを押して、ボートは水面を滑りはじめた。

 僕の乗ったボートは、ニーナのところまで風に運ばれた。

 すごい、奇跡だ! 風に助けられた!

 …風に?…助けられた…? 花火の時みたいに…?


「アレク!」

 ニーナの声にハッとする。 


 僕はニーナに手を伸ばし、ニーナを引き寄せる。

 ニーナは、少年を押し上げ、僕がボートに引き上げた。

 少年はぐったりしている。年齢はニーナと同じくらいだろう、小柄な少年だ。


 少年の体がボートに乗ったことを確かめると、ニーナはもう一度水底へ沈み、すぐにもう一人の金髪の少年を抱えあげてきた。


 もう一度、ニーナを引き寄せ、少年を引き上げる。こちらは意識があった。

 後から助けられた金髪の少年は、ボートに上がったとたん、ゴホゴホと咳き込みはじめた。


 ニーナは、僕が二人目を引き上げているうちに、自力で上ってきていた。


「状況は?」

 ボートに上がってすぐに、ニーナは、先に水に落ちた小柄な少年に駆け寄る。

 その少年は、まだ、ぐったりとして動かない。

「アレクは、そっちをお願い」

 僕はうなずき、金髪の少年に「大丈夫ですか」と声をかけながら、咳き込んでいる背中をさする。


 ニーナは、ぐったりと意識のない小柄な少年の肩をたたきながら、大きな声で呼び掛けた。

「おい、しっかりしろ、おいっ」

 すると少年は、ごぼごぼっと水を吐き出し、その後、咳き込みはじめた。


 よかった、生きてる。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ