表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
40/96

40 花火7


結局、僕は、帰りの馬車の中で、父さんとオスカー先生とニーナの3人に、ずーっと叱られた。


3人とも、僕が、燃える屋根に潰されそうになったことが、気に入らないらしい。


でも、僕は人助けをするために頑張ったんだし、屋根のことは確かに危なかったかもしれないけれど、実際、無事だったんだし、そんなことで怒られるのは納得いかない。


そうやって言い合っているうちに、家に着いて、もう今日は遅いから明日続きを話すと、父さんの部屋に呼び出しをくらった。


翌日、父さんの部屋では、「目の前の危険をほっとけない」という僕と、「まだ15歳なのだから命の危険があることはしてはいけない」という父さんの主張は対立し、僕はやっぱり納得できなかったけれど、父さんとの口論で敗北した。

そして、父さんの長いお説教に耐えて、解放された。


自分の部屋でへこんでいると、ニーナがやってきた。


「アレク、元気だしなよ」

「無理だよ、しばらくほっといて」


僕はベットに突っ伏したまま返事をする。

ニーナは、ベットに乗って来て、僕の隣に座ると、僕の頭を撫でた。


「ほっといてったら!」

僕はニーナのいない方へ顔を向ける。


ニーナが僕の横で寝転んだ気配がする。

僕の頭の後ろをツンツンと突いている。

「もう! ニーナ、ほっといてって、言ってるだろ!」

僕は体を起こしてニーナを見る。


「アレクシス様は、ヒーローだって!」

「へ?」


 ニーナが嬉しそうな顔で僕に寄ってきて、右手で僕の頬に触れる。


「昨日、アレクが助けた、エレナは、クロエの友人だったんだ。昨日は、クロエとエミールは、エレナとジュールのカップルと、ダブルデートだったの。それなのに、あの火事に巻き込まれてしまったんだって」

「ダブルデート? クロエと、エミールは付き合っているってこと?」


「あ、大人たちには内緒だよ」

 にっとニーナは笑うと、僕の頬から手を離した。


「クロエも、エミールも、アレクにほんと感謝してる。今日、美味しいおやつをアレクの分だけ作ってくれるって! アレクが、おじ様にたくさん叱られたことも知っているから、チョコレートのお菓子も持ってくるって言ってたよ。よかったね、アレク」


 …そっか…。


「え? アレク、泣いてるの?」

「ば、泣いてなんか、ないよ」

 僕は、またベットに突っ伏す。


 よかった。みんなに、いろいろ叱られたけど、僕だって役に立ってたんだ。

 誰かの大切な人を守れた。

 

「ごめんね、わたしも昨日、怒りすぎた。わたしにとっても、アレクは、ヒーローだよ」

 ニーナが、僕の頭を撫でながら言う。


 もう、なんだか胸がいっぱいで、当分、顔をあげられそうにない。


 


エミールが、アレクシスに作ってくれたお菓子は、大好物のクレーム・ダンジュ、フランボワーズソースがけ。

そして、チョコレートは、キャラメルガナッシュのボンボン・ショコラ。

頑張ったご褒美は、蕩けそうなほど美味しかったようですよ。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ