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  バタバタと焦ったような足音がどんどん近づいてくる。

  誰か来るの?誰?

  私は泣きながらも、誰か来るのか思考をめぐらす。

  すると部屋のドアがバンッと開いた。

 


「ルチア!!」


 

  ドアを開いて出てきたのは女性だった。

  女性はルチア!と呼びながら、急いで私の方に駆け寄り、直ぐに私を抱き上げた。

「ルチア、どうしたの?今まで泣いた事なんて一度も無かったあなたが泣くなんて・・・何か怖い夢でも見たのかしら・・・」

  そう言いながら女性は、優しい手で私をあやす。

  すると、あれ程込み上げていた恐怖が段々と落ち着いてきた。 どうしてだろう・・・

「大丈夫、大丈夫よ。お母様が居るからね」

  優しい声・・・

  ゆっくりと暖かく包み込まれるようで、ひどく安心する。

  心がどんどん落ち着いてくる・・・








 


  どれくらい時間が経ったんだろう・・・

  気づけば私の涙は止まっていた。

「あら、落ち着いたかしら?」

 涙も止まり、冷静さを取り戻した私は改めて女性の方に顔を向ける。女性は優しい顔で私を見つめていた。

  その顔はとても美しいもので、誰もが一度は振り返るであろう造形であった。

  艶やかな金髪に、穏やかな笑みを持った、正しく聖母のような人だ。

  そこでふと違和感に気づく。さっきこの人は自分のことをなんて言った?確かお母様って・・・

  それに私に向けて「ルチア」って呼んでた。

  どういう事?ひょっとして、私がルチアなの?じゃあ・・・この人が・・・


  私の、お母さん・・・・

 

 

「奥様~~!お待ちください~!」

  慌ただしい足音と呼び声に私はハッとする。

  どうやら誰かこっちに来るみたいだ。

「奥様~、急に走ったらあぶのうございます!」

  入ってきた女性は 、何やら西洋の侍従が着るような服を着ている。所謂ロングドレスのメイド服だ。

  メイド服着てる人初めて見た・・・というか私のお母さん?もドレスに近い物を着ている。

  髪色からして外国の人だとは思っていたけど、もしかして家格の高い家は今でもドレスを着ているのだろうか。


「ごめんなさいねアンネル、だってこの子が泣くなんて、今まで一度もなかったでしょ?だから何かあったんじゃないかと思って、心配でいても立ってもいられなかったのよ」

「奥様、お嬢様が心配だったのは分かりますが、いきなり走ってしまわれると私共も心配してしまいます」

「ごめんなさいね、今度からは気を付けるから」

「全く、お約束くださいね」

  アンネルと呼ばれていた女性は、栗色の髪を左右にお下げにしている可愛らしい感じの人だ。歳は十九歳くらいだ。


「アンネル見て、ルチアがこっちを見てるわ。なんて可愛いのかしら」

「まぁ、本当に可愛らしいですわね。それに瞳も奥様譲りのコバルトブルーの瞳で、とっても綺麗ですわ」

「えぇ、でも顔立ちはお父様似かしらね」

「旦那様と奥様のお嬢様ですもの。どちらに似ても、将来はきっと美人になられますわ」

「あら、そうかしら?」

「えぇ、このアンネルが保証します」

「ふふっ、良かったわね、ルチア」

 


  -あぁ、なんて温かいんだろう。



  愛がなかったわけじゃない。それは分かってる。

  二人とも忙しいなか、私の事を気にかけてくれた。私の好きなようにもさせてくれた。


  でも、それでも、寂しかった。

  皆が、お父さんとお母さんとの楽しかった思い出を語る度に、羨ましさを感じた。私には家族と過ごした思い出が数える程しか無かったから。


  良い家の子に産まれてこれていいなと言う子もいた。私からしたら、帰ってきたら家族みんなでご飯が食べれる方が羨ましいよと言いたかった。


  心の一番深いところではいつも思ってた。



「羨ましい」って。



  でも、今感じてる。今まで知らなかった温かみを。

  まさか、一度死んでから経験する事になるとは思ってなかったけど、こんなに温かいものだなんて知らなかった。

 

「ルチア、もうすぐお父様が帰ってくるから、それまでお昼寝しましょうね。悪い夢を見ないようお母様が歌を歌ってあげますからね」

「奥様、でしたら膝掛けをお持ちしますわ。冬ではないとはいえ、体を冷やしてはいけませんから」

「ありがとう、アンネル」


  私はお母さんの腕の中で子守唄を聞きながらあやされる。すると、自然と瞼が落ちてきた。



「ゆっくりおやすみ。ルチア」


 


 




 

 

夜にもう一話投稿すると思います!

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