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イェルフと心臓  作者: チゲン
第三部 人間とイェルフ
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11頁

 診療所のベッドに横になると、ヤナンはすぐに寝息を立て始めた。

 よほど疲れていたのだろう。無理もない。ずっと気を張っていたのだ。

 シュイの手を握ったまま、安らかな顔をして眠っている。

「あたし、どうしたらいいんだろう」

 イェルフ族と人間の身体の違いなど、考えたこともなかった。

 確かにポロノシューの言う通り、イェルフ族の体には魔力が潜在的に残っている。もちろん個体差はあるが、シュイの足が数日で治ったのもそのためだ。

「ん……」

 ヤナンが小さく呻いた。

 頭をでてやると、また安らかな顔になって眠り続けた。

「あたしも、なにかしなきゃ」

 シュイは意を決すると、ヤナンの手を離して立ち上がった。

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