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診療所のベッドに横になると、ヤナンはすぐに寝息を立て始めた。
よほど疲れていたのだろう。無理もない。ずっと気を張っていたのだ。
シュイの手を握ったまま、安らかな顔をして眠っている。
「あたし、どうしたらいいんだろう」
イェルフ族と人間の身体の違いなど、考えたこともなかった。
確かにポロノシューの言う通り、イェルフ族の体には魔力が潜在的に残っている。もちろん個体差はあるが、シュイの足が数日で治ったのもそのためだ。
「ん……」
ヤナンが小さく呻いた。
頭を撫でてやると、また安らかな顔になって眠り続けた。
「あたしも、なにかしなきゃ」
シュイは意を決すると、ヤナンの手を離して立ち上がった。




