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イェルフと心臓  作者: チゲン
第二部 イェルフの子供たち
38/61

24頁

 視線を受け、シダは顔を上げる。

 ジイロが、思い詰めた顔で見つめていた。背に少ない荷を、腰に父の形見の曲刀を佩いて。

「母さん……」

 言いかけ、ジイロは口ごもる。

「あのさ……」

「子供ってのは、あっという間に大きくなるもんだ」

「え……?」

 シダは目を細めた。

「おまえを守れって頼まれてたけど、もうそんな必要はないみたいだね」

「母さん、俺……」

「無駄死にだけはするんじゃないよ」

 シダは寂しげに微笑むと、それ以上何も言わなかった。

「ああ」

 ジイロは力強く頷くと、母に背を向けた。

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