表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
イェルフと心臓  作者: チゲン
第二部 イェルフの子供たち
37/61

23頁

 たったひと晩で、里は灰燼かいじんした。

 ここは、山の道を十日ほど分け入ったところにある山中。人間の手など及びもしないような奥地だった。

 野伏の襲来から命からがら逃げおおせたものの、行軍の途中で事故に遭ったり、傷が悪化して命を落とす者も続出した。

 この場所に着いたときには、二百以上いた同胞も、八十にまで減っていた。

 幸い、最長老トスカは無事だった。右足に重傷を負いながらも、自ら先頭に立って皆を率いた。彼がいたからこそ、つらい行軍にも耐えられた。

 この場所を、トスカは新たな里と定めた。

 出入りのままならない、険しい山奥。

 土は固く、作物もろくに育ちそうにない。

 人間の目が届かない代わりに、生きていくために必要な物は何もないに等しい。

 だがイェルフたちは働いた。

 土地をならし、畑を起こし、井戸を掘り、小屋を建て、曲がりなりにも集落の形を作り上げた。

 奇跡と呼ぶには、あまりに多くの代償を払い、血を流した。

 アコイもジイロも、脇目も振らずに働いた。

 トリンも寝る間さえ惜しんで働いた。

 日が昇り、沈み、一年が過ぎた。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ