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「うおおおーーーっ!!」
流星が2球目を投げる。
やはり300㎞/h。
星男が尻もちをつく。
「ストライク、ツー!!」と審判。
再び星男が立ち上がり、構える。
「次で終わりだ!!」
流星がボールを握った手を前に突き出した。
「ちょっと待って!!」
ベンチから文奈が飛び出す。
これはあまりにひどすぎる。
まったく勝負になっていない。
「なんだ! 男同士の勝負の邪魔するな!!」と流星。
「こんなの勝負じゃないよ!!」
文奈は星男の前に立った。
「銀河くん!!」
星男が文奈の顔を見る。
「野球したことあるの?」と文奈。
「この星のベーシックな知識は頭に入ってます」
「このままじゃ負けちゃうよ! それでもいいの?」
「ボクは勝ちたい。勝って任務を果たす。そして君を」
星男の顔がキリッとなった。
「嫁として連れて帰る!!」
「そ、それは置いておくとして…次で終わるんだよ。あんな球、打てるわけないよ」
「ボクは野球を詳しく知らないから…何か分かるものがあれば…」
「ええ!? 詳しく分かるものって言われても…」
「おい! 早くしろ!!」
マウンドから流星が怒鳴った。
「ちょっと待ってよ!!」
文奈が言い返す。
こんなに大きな声を出したのは、生まれて初めてかもしれない。
「あ、そうだ!!」
文奈が何かに気づいた。
「図書室になら野球の偉人の本があったような…」
「図書室だね」
そう言った星男はバットを下に置き、両手を前に突きだした。
両手の指の辺りの空間が突然、歪み始める。
驚く文奈と流星を気にもせず、星男は両手を徐々に拡げていく。
すると星男の前の空間が割れ、その向こうに部屋が現れた。
「あ!」
文奈が声を上げる。
その部屋に見覚えがあったからだ。
それは星雲学園の図書室だった。