表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
53/67

53

「静さんを幸せに…そして」


 良男が再び息を大きく吸い込む。


「君がいっしょに居てくれるだけで俺も幸せになれる!! 結婚してください!! お願いします!!」


 息を吐く勢いで告げ、良男は右手を差し出した。


 静の前に2人の男の手が並んだ。


 4人の女子社員たちも固唾(かたず)を飲んで見守っている。


「お2人の真剣な気持ち」


 静が口を開いた。


 その声は少し震え、美しい瞳には涙がうっすらとにじんでいる。


「すごく伝わりました。だからこそ私も真剣に考えて答えを出します」


 静の手がスッと前に伸びた。


 その手は良男の右手を握っていた。


「紫さん、これからよろしくお願いしますね」


 静がニッコリと笑い、そのせいで瞳からこぼれた涙が頬を伝った。


 良男は、なんて美しい涙だろうと思った。


 そして。


「うおおおおおおおっ!!」


 喜びのあまり天を仰ぎ叫んだ。


 自らの負けを潔く認めた茂手田が無言でその場を去っていく。


 4人の女子社員たちが2人を祝福する黄色い歓声を上げた。


「………パ!」


 あのときは文奈が生まれたのと同じくらいに嬉しかったな…。


「パパ!!」


「え!?」


 耳元で呼ぶ妻の声に良男…いや、文奈の父は現実へと引き戻された。


 文奈の母が頬を膨らまして拗ねている。


「私以外のこと考えてる?」


「いや。君へのプロポーズを思い出してた」


「まあ」


 母が顔を赤らめた。


「パパ、好きよ」


 母が父の頬にキスをする。


 父の全身を激しい衝動が疾り抜けた。


「マ、ママ、文奈と銀河くんはどうした?」


 今すぐに妻をめちゃくちゃ抱きたい欲望を抑え込み、父が訊いた。


 そう、文奈と星男が居る状況では、そんな大っぴらに始められるものではない。


「ああ」


 母がニコッと笑った。


「2人ならデートで映画を観に行きましたよ」


「デ、デ、デート!!」


 妻の魅力で頭がいっぱいだった父が一気に慌てた。


 愛娘の恋愛も妻に負けず劣らず大問題である。


「つ、付き合ってないのにデート!?」


「パパ」


 母が父を諭すように言った。


「銀河くんは素直で優しくて素敵な男の子よ。最近、2人の間で何か進展があったみたい。文奈も銀河くんのことを」


「わー!! わー!!」と父が大声を出す。


「何、パパ!? 急に何なの!?」


「聞きたくない、聞きたくない!!」


「ウフフフフ」


 母が笑う。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ