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 孔雀山が8歳になった誕生日、母親が若い男と家を出ていった。


 孔雀山は母親に捨てられ、激しいショックを受け深く傷ついた。


 父は孔雀山を励まし、労り、献身的に愛してくれた。


 それは感謝している。


 だが。


 孔雀山の心にぼっかりと空いた大穴は全く埋まらなかった。


 穴は時折ひどく痛み、孔雀山を苦しめた。


(愛なんてあてにならない!! 母さんは平気で僕を捨てた!! 特に女は信用できない!!)


 いつしか孔雀山の心には女性への猛烈な不信感が芽生え、どんどん強固なものになっていった。


 元々、容姿が美しかった孔雀山には大勢の女子からアプローチがあったが、その誰一人として受け入れられなかった。


 必ずどこかで自分を裏切るのだという恐怖が孔雀山の心を支配していた。


 しかし。


 それでいて孔雀山には愛への渇望がある。


 心の穴を埋められるのは愛しかないと考えてもいた。


 絶対に裏切られない愛。


 それこそが孔雀山には必要なのだ。


 どうすれば。


 どうすれば手に入るのか。


 孔雀山が心の穴の苦しみに息も絶え絶えとなってのたうち回る、ある日。


 その声は突然、聞こえた。


「お前が欲しがっている力をやろう」


 神の声だった。


 そうして孔雀山は「神の力」を授かった。


 この力があれば相手は必ず孔雀山に好意を寄せ夢中になる。


 そして最も肝心なのは絶対に裏切らないという事実だ。


 これこそが本当の愛。


 ついについに手に入れた。


 これで心の穴は埋まる。


 そう思った。


 だが。


 実際は違った。


 確かに最初のうちは言いなりになる女子たちに小さな安心感を得られた。


 しかしふと気づくと、不安がピタリと後ろに立っているのだ。


 穴も変わらない。


 ひどい痛みを相変わらず発し続ける。


(何故だ!! 僕は本当の愛を手に入れたはず!! 『神の力』は絶対なのに!!)


「神の力」を奪う宇宙人が現れたと生徒会長が仲間を束ね、対策を打ち出した頃、孔雀山はすでに袋小路に迷い込んでいた。


 まるで分からない。


 望んでいた力は手に入ったのに!!


 数が足りないのか!?


 孔雀山はそう結論づけた。


 とにかく女子を大勢、虜にすれば。


 自分を愛する女子の数が増えれば、必ず心の穴は埋まる。


 揺らぐことなき真実の愛が全てを解決してくれる。


 それまでは続けなければ。


 宇宙人になど、力を奪わせはしない。


 他の奴らは失敗したが、僕はけして負けない。


 力を奪われた奴らが何か吹っ切れたようになっていても、それがどうしたんだ!!


 そんなものは偽物の救いだ!!


 奴らが諦めただけだ!!


 僕はこの力で絶対にたどり着く!!


 自分を…自分を救ってみせる!!


 これからも女子たちの愛を集め続ける!!


 それしか…それしかないんだ!!


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