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「神の力」を得た川中島は変わった。


 授業は魅力的になり、居眠りする生徒は居なくなった。


 モンスターピアレンツにも余裕で対応できる。


 雑事は全て簡単に処理できるようになった。


 完全に生まれ変わったのだ。


 これなら思い描いていた理想の教師になれる。


 そう思った矢先。


 宇宙人、銀河星男の出現を神が告げた。


「銀河を倒せ。そして宇宙に追い返すのだ」


 星雲学園には自分以外にも「神の力」を授かった者たちが居た。


 神の指定したリーダーの元で川中島たちは宇宙人を迎え撃つことになった。


 3人が「神の力」を銀河に奪われたが。


(俺はやった! この力を失うなんて考えられない! これからなんだ! 俺の教師人生はこれから始まる!!)


 突然、後方から沸き起こった騒がしい物音に川中島は現実に引き戻された。


「な、何だ!?」と振り返る。


 背後には竜田の家紋をつけた赤い陣幕が見える。


 その向こう側から戦い合う兵士たちの声が聞こえた。


 本陣に僅かに残した兵が何者かと戦っているのだ。


(攻撃されている…だと?)


 川中島は呆然とした。


 今まさに本陣に迫っている敵とは?


 その答えはひとつしかない。


「ま、まさか!?」


 川中島が叫ぶと同時に陣幕が斬り裂かれ、萌杉軍の鎧を着けた兵士がなだれ込んでくる。


 そして、その後ろから。


 白馬に乗った鎧武者が現れた。


 本陣に残った数人の竜田勢が川中島を守ろうとするが、騎馬武者と萌杉の兵にあっという間に倒された。


 騎馬武者が川中島の前に馬を進める。


 兜の下の武者の顔が川中島にはっきりと見えた。


「銀河!?」


 馬上の武者、銀河星男は刀の刃先を川中島に突きつけた。


「降伏せよ、川中島」


 半分まぶたを閉じた顔で星男が言った。


「バ、バカな!? お前は萌杉勢の中に居たはず…」


 川中島が顔から汗を滴らせ、うめく。


「あれは私の鎧を着た嫁じゃ」


「嫁!?」


 川中島が真っ青になる。


「紫か…」


「左様。私は嫁と鎧兜を交換し、100の兵士を率いて竜田本隊の後ろへ回り込んだのだ」


「嫁を…嫁を(おとり)にするとは…何てひどい…」


「違うぞ!!」


 星男の両眼がカッと見開いた。


「私と嫁は互いを信頼しておる。私は策を説明し、嫁はこの役目を買って出てくれた。私は嫁が倒される前にお主の首を獲る自信があった。だから嫁に任せた」


「くっ…」


「お主は戦局が自らの思い通りに運んだと思い込み、全兵力を前線に投入した。私はそれを待っていたのだ」


 星男が川中島に突きつけた刀を少し前に押した。


「降伏せよ、川中島」


 2度目の宣告に川中島は、その場にへたり込んだ。


「分かった。降参する」


 川中島が、がっくりと項垂(うなだ)れた。


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