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史実であれば山頂で空振った「ぽん酢城」の兵が駆けつけるまで竜田勢は苦しい戦いを強いられた。
しかし今回、川中島は早々に「ぽん酢城」の兵をこちらに向かわせている。
さして時間はかからぬうちに、萌杉勢は背面に敵を受け挟撃される。
(やったぞ!! 宇宙人、銀河星男、敗れたり!!)
閧の声と共に萌杉勢の前衛が竜田本隊へと突撃してきた。
(この攻撃をしのげば。ほんの10分ほど耐えきれば、こちらが勝つ!!)
川中島は高揚する気持ちを何とか抑え、自軍に指示を出した。
兵力に勝る萌杉勢の勢いはすさまじい。
しかし竜田勢はよく耐えている。
(来い!! 早く来い!!)
川中島は心中で叫んだ。
そして。
ついに川中島の待ち焦がれるものが戦場へと現れた。
「ぽん酢城」の兵1200である。
竜田本隊を攻め立てる萌杉勢の後方。
あらかじめ伝令しておいた通り、新手の軍勢は萌杉勢の背後から猛然と襲いかかった。
(勝った!!)
川中島は本陣周りの兵も、ほとんど全てを前線に投入した。
ここを勝負所と確信していた。
挟撃された萌杉勢がみるみるうちに守勢に回り始める。
「攻めろ!! 攻め立てろ!!」
川中島が檄を飛ばす。
興奮で顔が真っ赤だ。
次々と倒される萌杉勢。
萎んでいく敵陣の向こう側に萌杉の旗指物が揺れ、萌杉信々の鎧を着た星男の姿が垣間見えた。
とうとう敵の総大将を捉えた。
星男を倒した時点で川中島は勝利を手にする。
(やった!! 俺は『神の力』を守りきったぞ!!)
川中島は情熱を持って教師になった。
月並みだがテレビドラマの熱血教師に憧れていた。
だが現実は厳しかった。
生徒は授業に熱意を示さず、生徒の親たちは何かというとすぐにクレームをつけてくる。
授業に工夫を凝らしたくとも、膨大な量のデスクワークがそれを許さない。
いつしか最初の情熱は消え去って、川中島はただただルーティンをこなすロボットのようになっている自分に気づいた。
もう限界だった。
辞めよう。
そう思った。
そんなとき。
「お前の望む力をやろう」
神の声が聞こえた。
川中島はその声にすがった。
本心は教師を辞めたくなかったのだ。




