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「そなの? 任務に来たのは喋っていいのかな?」
文奈が首を傾げる。
「文奈さんは嫁なので特別です」
「あ…ああ、そなんだ」
文奈が頷く。
「ちょ、ちょっと! 私、まだお嫁さんじゃないよ!!」
星男がニコッと笑う。
「わわ!『まだ』っていうのは『これからお嫁さんになる』って意味じゃないからね!」
アワアワする文奈に銀河が両手を広げて近づいた。
このままではおそらく抱きつかれる。
さすがに文奈は後ろへ退がった。
星男が迫る。
文奈が逃げる。
星男が追う。
完全に走りだした文奈を星男が独特の妙な走り方で追いかける。
文奈は階段を下り、グラウンドへと走り出た。
追う星男。
「転校生!!」
突然、男の声がした。
グラウンドに立つ星雲学園2年C組、野球部エース、流星兵馬。
「助けて!!」
文奈は流星に向かい、その背後へ隠れた。
追ってきた星男が足を止め、流星とにらみ合う。
「嫁を返しなさい!!」
星男が怒鳴った。
「私、まだ銀河くんの嫁じゃないよ!!」と文奈。
「ええ!?」
星男が驚く。
「さっきOKしましたよね?」
「してないよ!!」
「お前たち、オレを無視すんなーっ!!」
流星がブチ切れた。
坊主頭に血管が浮きまくる。
背が高く立派な体格から怒りのオーラが立ち昇っていた。
「オレは流星兵馬! 転校生! 俺と勝負しろ!!」
突如、星男の両眼がキラリと輝いた。
「君、『鍵』を持ってるね」
星男の言葉に流星が首を傾げた。
「『鍵』? 何のことだ?」
「ボクに渡してください」
「わけが分からないことを…。オレと勝負しろ! オレが勝ったら、お前は自分の星に帰れ!!」
文奈は驚いた。
流星は星男が宇宙人だと認めているのだろうか?
「いいですよ。その代わり、ボクが勝ったら君が持っている『鍵』をもらいます」